第6回 単焦点レンズで風景を切り取るように撮る――ソニー「E 50mm F1.8 OSS」:デジタル一眼レンズの楽しみ
自由に構図を決められるズームレンズは便利ですが、ズームに頼っていると同じような写真ばかりになりがち。今回はNEX用の単焦点レンズを使って、風景を切り取るような構図で撮ってみましょう。
ソニー「E 50mm F1.8 OSS」は、同社のミラーレスカメラ「NEX」シリーズのEマウントに準拠した中望遠の単焦点レンズです。Eマウントレンズでは最も明るい開放値F1.8を実現しつつ、画角は35ミリ換算で75ミリ相当に対応。ポートレートのほか、夕暮れや屋内での自然光スナップなどに最適なレンズといえます。
外装は質感の高いアルミニウム合金製。他のEマウントの単焦点レンズと同じく、鏡胴部にはフォーカスリングしかないシンプルなデザインです。サイズと重量は、レンズキットに付属する標準ズームと体感的にほぼ同じ。適度な携帯性があり、気楽に持ち運ぶことができます。
フォーカスは、鏡胴が伸縮しないインナーフォーカス式で、AFはスピーディに作動。一般的なスナップ撮影ではストレスを感じることはありません。手ブレ補正は、効果4段分をうたうアクティブレンズ方式を内蔵。AFも手ブレ補正もほぼ無音で作動し、静止画だけでなく動画用にも役立ちます。
この明るい中望遠レンズを持って、スナップ撮影を楽しんでみました。撮影地は都立小金井公園。敷地内にある江戸東京たてもの園には、江戸時代から昭和初期にかけての歴史的建造物が復元・展示されていて、古きよき時代にタイムスリップした感覚を味わうことができます。
上の5枚は、開放値のF1.8で撮影したもの。ピントを合わせた部分はシャープに解像し、その前後にはなめらかなボケが生じています。各種の収差や周辺減光はほとんど気にならず、開放値から安心して使える光学性能といえます。
水平と垂直をまっすぐにして撮る
撮り方としては、建物の全体をあえて写さず、部分を切り取るようなフレーミングを試みました。75ミリ相当の画角は、ある部分に注目して見つめた場合の目の視野に近く、自然な感覚で一定の空間を抜き出すことができます。
今回の主な被写体である日本家屋の外観や内観は、複数の直線が組み合わさって構成されているため、撮影時はできるだけレンズの光軸が地面に対して平行になるように構えることがポイントです。水平と垂直を傾けずに撮ると、安定感のある構図が生まれます。
「E 50mm F1.8 OSS」は歪曲が少なく、直線が直線としてまっすぐに写る点に好印象を受けました。当たり前のことかもしれませんが、筆者はふだんの撮影では利便性優先でズームレンズを多用していることもあり、ゆがみの少ないレンズに出会うとなんだかホッとします。
休日のスナップ撮影では、このレンズ1本だけを持って出掛けるのも面白いでしょう。ズームレンズやワイドレンズがないと最初は不自由に感じるかもしれませんが、慣れるにしたがって75ミリ相当の画角や距離感がつかめてくるはず。全部を写さず、切り取る楽しさを教えてくれるレンズです。
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開放F値1.8の明るさと新光学系による美しいぼけ味を生かした撮影が可能。価格は2万9400円(税込/予定)
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