第8回 内蔵ライトのカシコイ使い方:荻窪圭のiPhoneカメラ講座
iPhoneカメラのレンズ横にはLEDライトがついてる。標準ではオンオフが自動なので、あまり意識しないかもしれないが、オンオフを意識的に使い分ければよりいい感じの写真が撮れるのだ。
iPhoneに限らずほぼどのスマホもそうだけど、背面を見るとカメラのレンズの横にライトがついてる。ライトというかLEDである。
あれ、使ってます?
わたしは普段からオフにしてて、まったく使ってない。
標準では「自動」になってるので、それを「オフ」にしてやるだけでいい。「自動」のままでも、かなり暗くならないと光らないから、意識してない人も多いかと思うけど。
理由は2つある。
ひとつは「予想しないとこで勝手に光られるのがイヤ」なこと。急に光られるとこっちも撮られる方もびっくりしちゃう。特にLEDの光ってすごくまぶしく感じるから。だからどうしても光らせたいとき以外はオフ。
もうひとつは、写りが不自然になりがちだから。そもそも正面から光が当たるというシチュエーション自体が不自然だし、LEDの光は指向性が強いので中心部と周辺部の明るさの差が大きくまんべんなく照らしてくれないし、ちょっと青白いので色が不自然になることが多いからだ。
特にLEDはコンパクトデジカメの内蔵フラッシュ(キセノンガスを使って一瞬だけ発光させるもので、LEDとは根本的に違う)と比べると分が悪い。
わかりやすいよう格子状の壁を撮ってみた。
デジカメの方は全体まで明るく写っているのに対して、LEDライトだと中央は明るいけど周辺部まで光が当たってないのが分かるかと思う。光量もさほど強くないし、ライトをオンにするとHDRが使えないので、普段はオフにしておくのがお勧め。
じゃあどんなときに使うといいのか。ライトを点灯させたときのメリットは何か。
ひとつはメインの被写体をくっきり写せること。
適当な作例で申し訳ない。
もうひとつはライトを光らせると当然ながら光が当たったところは明るいので、ISO感度があまり上がらないこと。よってノイズが少ない。
つまり、メインの被写体を明るくくっきり撮りたいならライトをオンにすればいいし、その場の雰囲気を一緒に撮りたいならオフにすべし、オンにするかオフにするかはiPhoneまかせにせず、気分で決めるべし、というのが結論ですな。特にフラッシュ禁止の場所や、フラッシュをたくことで周りに迷惑をかける場所ではオフに。
ついでに、猫や赤ちゃんはオフで撮ること。特にLEDの光は直接見ると目によくないし、大人でも「まぶしっ」と思うもの。
で、意外に暗くても撮れるのですよ、iPhoneは。
桜が散りまくったあとでこんな写真を載せるのもアレだけど(申し訳ない)、「ライトアップされてない」夜桜でも撮れるのである。
その場の灯りだからこそ撮れる雰囲気というのを大事にしたいなという感じです。
でも暗いとどうしても手ブレしちゃう。
ではどうするか。
素直にその辺の安定した場所へiPhoneを固定し、手で構図を微調整してそっと撮りましょう。例えば橋の欄干にiPhoneを置いて撮れば、夜桜くらいなんとかなります。
まあノイズでざらつくのもまた夜っぽくてよしってことで。
今週の小技:撮影用LEDライトをひとつ持ってると何かと便利
どうしてもちゃんと明るく撮りたいってときは、撮影用LEDライトを使うといい。白色のLEDがいくつも(安いものでは9個くらい、本格的なものだと数10個)びっしりと並んでて、乾電池で動作する簡易ライトだ。
こんな風に三脚などに固定してやれば好きな角度から照らせるので、自由にライティングできるのがいいのだ。
するとiPhoneでもこんな深夜の羽化の瞬間を撮れるのである。
まあ、ここまで凝ったことするならiPhoneじゃなくて普通のデジカメ使えよ、って話もあるし、まあわたしもそう思うのだけど、LEDライトって動画撮影時も使えるし(もともとそっちがメインか)、いざというときは超明るい懐中電灯としても役立つし、安いモノなら数千円なので持ってても面白いかと思う。
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