iPhone 4Sから着実にレベルアップ――「iPhone 5」のカメラをねっとりと試す:荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ(1/4 ページ)
iPhone 5が発売された。カメラの画素数はiPhone 4Sと同じ800万画素だが、iOS 6になったことでパノラマ撮影が利用可能になった。ではハードウェアに依存する処理速度や画質はどうか。iPhone 4Sとの作例も交えながらiPhone 5のカメラ性能をチェックした。
「iPhone 5」が出たのである。シンプルだけど安定した写りと、カメラ・画像関連アプリの多さでかなりいい線をいってるiPhoneシリーズであるが、高評価だったiPhone 4Sに比べてiPhone 5はどうなったか。
良くなってます。これは確実に。そのへんをねちねちと。
iPhone 4Sよりここが良くなった
最初にiPhone 4Sと比べながら見ていくのだ。
iPhone 5の撮像素子は(おそらくは)ソニー製の裏面照射型CMOSセンサー。ソニーモバイルはXperia GXに1300万画素の、SXに800万画素のセンサーを搭載してるけど、iPhone 5は4Sと同じ800万画素のまま、1300万画素には上げなかった。
レンズは新しくなった。4SはF2.4で4.3mm、5はF2.4で4.1mmと画角がちょっと広くなってる。一見して大きな違いはそのくらい。でも使ってみるとけっこう差があるのだ。
1.処理速度
iPhone 5になり、CPUパワーが上がることでサクサク撮れるようになった。分かりやすいところではHDRをオンにしたときの撮影間隔。大雑把に実測したところでは、iPhone 4Sは約3.5秒だったのに対して、iPhone 5は約2秒。この差はけっこうでかい。
2.撮影画面
液晶モニタが16:9とワイドになりスペースに余裕ができたことで、撮影画面のデザインがちょっと変わり、カメラボタンが円形になった。で、よく見るとさらにちょっとした違いがある。iPhone 5はプレビュー画面の縦横比が4:3じゃないのだ。少し横長なのである。3:2よりちょっと長辺が短い感じ。もし4Sと比べて違和感を覚える人がいるとすれば、そこだ。
ただ、撮れる絵は4:3の800万画素である。撮影時は上下が少しカットされてるというのが分かるかと思う。うーむ。あまりよいことではないですな。撮影機能は従来と同じ。タップしたところにAFとAE(自動露出)が合うし、長押しするとAF/AEロックできる。これは便利。オプションでHDRとグリッド表示のオンオフが可能だ。
3.画質
では画質だ。いつもの滑り台から。HDRはオフのものを。基本的なテイストは同じ。色合いも同じ。ただ、iPhone 5の方が少しだけ広角で、写る範囲が広くなっている。
次はあずまや。
似てるけど、よく見るとiPhone 5の方がやや色が鮮やかで、緑もはっきりしてる。もう1つ、ディテールの処理もちょっと変わった。上記のようなシーンだと分かりにくいが、人工物を撮るとはっきり違いが出る。分かりやすいよう部分拡大してみた。
もう1つ。
総じてiPhone 5の方がちょっとくっきりして見栄えがよくなり、画角がちょっと広くなったと思っていい。
4.暗所での撮影性能
もう1つiPhone 5に切り替えた人がよく言うのが、暗所に強くなったということ。実際どうなのかというと、違ったのは画質より、ホワイトバランスとISO感度のようだ。室内でのオートホワイトバランスの精度が上がったのだ。同じ光源下(白熱灯色のLEDライトと白熱灯色の蛍光灯のミックス)で撮ったが、iPhone 5の方がホワイトバランスがきちんと合っている。
もう1つ、iPhone 5の方がISO感度を高く上げるようになった。ものすごく暗い場所では、iPhone 4SはISO800の1/15秒で止まってた。iPhone 5は1/15秒のままどんどんISO感度を上げてくれる。とりあえずISO3200までは確認した。すると夜のかなり暗い場所での写真でこういう差が出る。
iPhone 5の方がノイズが多いのはISO3200まで上げてるから当たり前の話で、その分これだけ明るく写るのである。そういう意味で、iPhone 4Sでは撮れない暗い場所でも撮れるようになったというのは正解だ。ただ1/15秒ともなると手ブレしやすくなる。撮るときは手ブレに注意、というのは従来と変わらない。
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