さまざまな「写真展」を随時案内していく本コーナー。キヤノンギャラリー品川で、2014年12月25日から開催予定のGOTO AKI 写真展「elements 時を観る 光の旅」を案内する。
1993年の世界一周の旅から2006年頃までは海外への興味が尽きず、日本の光景への視線はまだ熱くなかったと記憶しています。30代半ばを迎えた頃から日本を旅する機会が増え、特にここ数年は九州の阿蘇・九重・霧島・雲仙の地球的なダイナミックな光景に心を奪われてきました。それは、かつて海外の雄大な光景を目にした時と同じように、心の奥に驚きをもたらす光景だったのです。以来、いつかこの地へ撮影に通ってみたいと心に温めてきました。その「いつか」が訪れたのが2013年の初夏。カレンダーの撮影をはじめるにあたり、撮りたい場所としてあげたのが阿蘇・九重・霧島・雲仙を中心とした九州本島です。
「風景写真」というと人と切り離されて語られることがありますが、僕にとっては風景も人も一緒です。人の表情にその人たちの過ごしてきた時間が刻まれるように、風景の中にも地球の時間が刻まれています。阿蘇の大地は30万年前から9万年前まで大規模な火山活動があり、人々が生活している大地はその何万年もの堆積物の上で成り立っています。人間の時間的な尺度を離れて、地球的な物差しで観ると、衝突があり、火がうまれ、水蒸気となり、風雨が大地を削り、地中へ帰るという、長い年月の繰り返しの中からうまれてきた地球の表情がそこにはあります。撮影場所がどこであれ、その光景を構成している〈雲 雪 霧 氷 雨 湧水 滝 海 光 大地 地層〉といったエレメント(地球環境、自然環境の構成要素)は、俯瞰すると、まさに地球の表情の一部であり、そこに根源的な美を感じるのです。
雲の彼方に光を/霧の中に色を/池の水面に風を/山肌に時の流れを/木々の造形にリズムを
静止しているように見える光景も、常に移動する風と光とともに、うつろいという時間経過の中で変化しています。僕がシャッターを切る場所は、眼前の光景だけでなく目には直接見えない風や時間に思いを馳せる場所。そこが写真で輝く光景だからです。
このカレンダーの撮影地は誰もが比較的簡単に行ける山、海、池、滝、高原などで特別な場所はありません。観光地であるかどうかは関係なく、宇宙空間の地球、地球の中の日本という俯瞰した視線で見つめることで、身近な光景の中に新たな表情を発見することができるでしょう。皆様にとってこの写真展が自然を見つめる新たな視座の獲得につながる機会になれば撮影者としてこの上ない幸いです。
写真展の詳細
名称 | GOTO AKI 写真展「elements 時を観る 光の旅」 |
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開催期間 | 2014年12月25日(木)〜2015年2月5日(木) |
開館時間 | 10時〜17時30分 |
定休日 | 日曜、祝日、2014年12月27日〜2015年1月4日 |
入場 | 無料 |
会場 | キヤノンギャラリー品川 オープンギャラリー |
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