カメラファンを魅了する、質感の高いPEN――オリンパス「PEN-F」(2/3 ページ)
半世紀前に誕生した世界初のハーフサイズ一眼レフの名を継承したPENシリーズの最高峰。シリーズ初搭載のファインダーが、往年のカメラ好きの心を震わせるメカっぽいデザインや操作系にマッチして心地よい。
新設されたクリエイティブダイヤルは意外に使える
PEN-Fでは従来のPENにはなかったダイヤルとレバーが新設された。前面にはクリエイティブダイヤル。背面にはレバー。どちらもカスタマイズ不可な専用のものだ。
クリエイティブダイヤルはMONO/COLOR/ノーマル/ART/CRTの5つのポジションを持っている。PASMの各撮影モードの時、このダイヤル一つでモノクロモードにしたり別のカラープロファイルに切り替えたり、アートフィルターをかけたり、「カラークリエーター」機能を使ったりできるのだ。要するに好きなときにさっとエフェクトをかけたり色をコントロールできたりするわけである。
「あ、モノクロで撮りたい」と思ったらダイヤルをMONOに回せばよい。ここはちょっと青空を強調したいとかトーンカーブをいじりたいと思ったら、COLORにしてさっと変更してやればよい。そして背面のレバーはカラーコントロール専用となっているので、その場でさっと調整できるのである。例えばこんな感じ。
港の風景をF8の絞り優先AEで普通に撮影。これをちょっとハイライト部をおさえ、シャドーを持ち上げて、空や水面を少し鮮やかにしようと思ったら、COLORモードにダイヤルを回し、背面のレバーと前後の電子ダイヤルで調節するのである。
さらにMONOにダイヤルを回し、ハイコントラストなプロファイルにするとこうなる。
通常のカラーモードでも、背面のレバーを使えばさっとトーンカーブの調整が可能で、これがけっこう便利だ。暗部をちょっと持ち上げたいな、逆にコントラストを上げたいな、ということはよくある。モニターを見てそれを判断できるのがライブビューの良さでもある。で、こんな風に写りをコントロールできるのだ。
また、アートフィルターも撮影モードからなくなり、クリエイティブダイヤルに加わったことでより気軽に使えるようになった。あ、ここはあのアートフィルターで撮りたいなと思ったら、撮影モードはそのままに、ダイヤルを回してARTにし、レバーを動かしてどのフィルターにするか選ぶだけなのである。全部ファインダーをのぞいたままできちゃう。
すみません、この機能をはじめて見たとき、カラーコントロールなんてあんまり使わないからこのダイヤルを他の機能に割り当てられないかな、と思ってました。カラークリエーター機能はOM-D E-M1から(確か)あるけれどもほとんど使ってないし。アートフィルターは専用の撮影モードで困ってなかったし。
だがしかし、である、専用のダイヤルがついていて、さっとアクセスできるとなればけっこう使っちゃうのである。特に鮮やかに撮りたいなとか、モノクロで撮りたいなとか、ふと思ったとき、ダイヤルとレバーでさっと変えられると使っちゃうのだ。イメージ通りの写りに持って行くにはある程度の試行錯誤が必要なのだけど、撮影を楽しむという意味ではなかなかよい着眼点じゃないかと思った次第。
実のところ、PEN-Fの機能が多すぎるので、新しい機能を中心にポイントを絞ったのだが、ここで触れてなくても従来受け継いだ機能がたくさんあり、シンプルに使っても凝って使っても楽しめる写真好きのカメラに仕上がっているバッテリーはOM-D E-M1などOM-DやPEN E-P5と共通なのもよい。
ただ相変わらずUSB端子がやや特殊なのはいただけないか。細かい注文はあれこれあるけれども、レンジファインダー風スタイルの(つまり中央がぴょこんと飛び出ない)レンズ交換式カメラとしては出色のデキで、PENシリーズの最高峰にふさわしいのは確か。
OM-Dのハイエンド機であるOM-D E-M1と比べると、グリップ、EVFの見やすさ、AF性能ではちょっと負けるが、スナップ機としてみるとコンパクトで操作系が新しくなり、機能も豊富なPEN-Fの方が魅力的。首から提げて歩くのにもちょうどよし。レンズキットがズームレンズではなく、「12mm F2.0」というハイエンドの広角単焦点レンズというところもスナップ機としての性格を表している。なかなかの製品でありました。
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