最後はWebニュースを「お取りよせ」して読む方法だ。といっても現在日本で発売されているReadeには通信機能が搭載されていないため、Mac側で下準備が必要になる。そのときに役立つのが、Webページを取得してEPUBに変換し、Readerに転送してくれる「Calibre」というフリーウェアだ。
Calibreが素晴らしいのはWebページの取り込みから転送まで、全自動でやってくれる点。まずはツールバーの「ニュース取込」ボタンから購読するニュースサイトを指定しよう。本稿で用いたバージョン0.7.38(最新バージョンは0.7.42)では、読売新聞や毎日新聞、有料の日経新聞電子版(ユーザーIDの入力が必要)など、12サイト/23種類のRSSが登録されているので、読みたいものの「ダウンロードスケジュール」をオンにする。
後はCalibreを起動しっぱなしにしておけば、ニュースサイトから最新の記事をダウンロードしてEPUB形式に変換してくれる。MacにReaderをつなげば、このEPUBを自動で同期してくれるというわけだ。筆者のMacBook Proでニュースサイトを5つほど登録し、同期させてみたところ数分程度で作業が完了した。「これくらいの手間なら毎朝、やってもいいかな」と思わせる気軽さだ。
ただ、残念ながら英語ソフトの宿命というべきか、文字化けが起こるものがある。というより、現状では半数以上のニュースサイトが文字化けする。読売オンラインなどは、冒頭のRSS部分が文字化けするだけなのでまだ普通に読めるが、毎日新聞、MSN産経ニュース、ロイタージャパン、CNET Japan、Engadgetなどは、本文まで読めかった。
せっかく同期がこんなに楽なのにもったいない、何か解決方法がないものか……とWebを検索していると、Reader用のまとめページに文字化けの解消方法が書かれていた。簡単に説明すると、1)日本語フォントをダウンロードしてReaderにコピー、2)ニュースサイトの取り込み設定を複製、3)ニュースサイトごとにフォントを指定──という手順を踏むことで文字化けが解消できるという。この方法を見つけてくれた先達に感謝しながら手順を紹介しよう。
まずは日本語フォントの導入だ。上記サイトでは日本語フォントとしてIPAモナーフォントを用いているので、ここでも同様のフォントを用いた手順を紹介するが、ほかの日本語フォントでも(ライセンスに問題がなければ)基本的には利用可能だ。
IPAモナーフォントのアーカイブファイルをダウンロードし、ファイルを展開すると、左の写真のように「fonts」フォルダーにフォントが5種類用意されている。続いてReaderをPCにUSB接続し、USBマスストレージとして認識されているドライブ(READERというボリューム名のはず)の直下に、半角小文字で「fonts」というフォルダーを作成し、先ほどのフォントを同フォルダー以下にコピーしよう。
Calibre上部のメニューアイコンのうち、「ニュース取込」ボタンの右下にある三角(▼)をクリックし、「独自ニュース源を追加」を選択する。。現れた画面で「組み込みレシピをカスタマイズ」をクリックし、ニュースサイトを指定しよう。
続いて、「アドバンスド・モードに切り替え」ボタンを押してニュース生成用のソースコードを表示。画面右側のコード内の「remove_tags_before」行を探し、その前に後記のコードをコピー&ペーストして、「レシピを追加/更新」ボタンを押す。サイトによってソースコードは異なるので微妙に挿入位置が異なることに注意しよう(画像はEngadget日本版のもの)。このとき、前後の行と行頭のスペースを一致させる必要がある。設定がうまくいかない場合はここがそろっているかチェックしたい。
no_stylesheets = True
language = 'ja'
encoding = 'utf-8'
extra_css = '@font-face {font-family: "ipagpmona";src: url(res:///Data/fonts/ipagp-mona.ttf);} body { font-family: "ipagpmona";}'
カスタマイズが完了したら「ニュース取込」ボタンをクリックし、「カスタム」欄を展開すると、先ほど手を加えたニュースサイト名が現れるので「ダウンロードスケジュール」をオンにする。設定は以上だ。
なお、Calibreでは、任意のWebサイトを追加することも可能だが、こちらも日本語フォントを使わないと文字化けする上、Readerの動画が不安定になることもある。
試しに「+D PC USER」をこの方法で登録してみたが、文章が長くて画像がふんだんに使われていたせいか、極端に動作が遅くなってしまった。Readerがフリーズしたときは、本体下にある「RESET」穴にクリップなどを差し込んで5秒以上押してから、電源スイッチをスライドし続けると再起動する。
2回に渡って、自炊、有料コンテンツ、青空文庫、ニュースサイトと、さまざまなコンテンツをMacで取得して、Readerを使う方法を紹介してきたが、意外に実用的と感じた人も多いのではないだろうか。もちろんメーカーのサポート対象外で、本体のアップデートを実行できないなどのデメリットもあるが、それでも読むものには困らないということは分かっていただけたと思う。
普段はiPhoneにどっぷり漬かっている筆者だが、今回、改めてReaderに触れてみて、ハードウェア的な読みやすさを実感した。実売で2万円を切る5インチモデルの価格も魅力的だろう。「非対応」だからとあきらめずに、MacでのReaderライフをアグレッシブに楽しんでほしい。
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