パナソニックの7型タブレット「UT-PB1」で楽天の電子書籍ストア「Raboo」を試す(2/2 ページ)

» 2011年08月17日 10時00分 公開
[ITmedia]
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専用端末としての簡便な操作感

 UT-PB1を起動すると、Androidで一般的な画面や初期設定のウィザードなどはなく、専用端末としての画面が顔をのぞかせる。同端末でのホーム画面は「マイデスクトップ」と呼ばれ、後述する「よみ読み」のほか、読みかけや未読、お気に入りの電子書籍が表示される。このマイデスクトップ画面を軸に、Rabooで電子書籍を購入するための「ブックストア」、そして電子書籍を管理する「マイシェルフ」の画面が主な構成要素となっている。

左から「ブックストア」「マイデスクトップ」「マイシェルフ」の画面。マイデスクトップの画面から「ブックストア」を指で引き下げるようにするとブックストアの画面になる

 「チラよみ」は、いわば試し読みのこと。Rabooでは、各タイトルの10〜40ページを購入前に読むことが可能で、UT-PB1には600作品ほどがサンプルとしてプリインストールされている。写真では書影が重なって表示されているが、ピンチアウトの操作でそれらが画面に横並びになる。この辺りの操作感は、動画で紹介した「パナソニックが楽天とタッグを組んで電子書籍リーダー『UT-PB1』を参考出品」で確認してほしい。なお、ピンチイン、ピンチアウトは一部の画面では可能だが、電子書籍の閲覧時には機能しない。

マイデスクトップで重なっている書影を指でピンチアウトすると一覧表示に(写真=左)/電子書籍の閲覧時とメニュー画面を表示させたところ(写真=中央・右)

 ページ送りは画面の左右をタップ、あるいは画面中央を左右にフリックすることで行う。画面中央をタップすると、メニュー画面が表示される。フォントサイズの変更などはこのメニューを開いて変更する必要がある。「設定」項目では「ルビ表示」「色の設定(白地に黒文字、黒地に白文字)」「ページアニメーションのオンオフ」などが行える。

 ビューワとしては、いわゆるXMDFビューワで、ストアへの導線を設けているほかは特に奇をてらった感じではなく、さほど利用で迷うことはない。

端末だけで完結するUT-PB1

UT-PB1でRabooにアクセスしたところ

 繰り返しになるが、UT-PB1は、現時点でRabooを利用できる唯一の端末である。

 Rabooに並ぶ電子書籍の購入時にはコンテンツ価格の1%が楽天スーパーポイントとして付与される。もちろん楽天スーパーポイントで購入することもできる。ちなみに、Rabooでは電子書籍のファイルフォーマットにXMDFを用いている。

 Rabooを利用するには、先に機器認証を行って楽天のユーザーIDとUT-PB1をひも付ける必要がある。機器にひも付けたものと同じ楽天会員のユーザーIDで購入した電子書籍であれば、設定から「購入済み書籍の同期」を選択することで、いつでも再ダウンロードできる。

 Rabooは8月中をめどにPC Webのサイトも公開予定としている。PCから購入した電子書籍を同期させるような場合に「購入済み書籍の同期」を利用することになるだろう。ここから分かるのは、電子書籍コンテンツに関していえば、UT-PB1は同期のためにPCと接続する必要がなく、端末だけで完結するという点だ。ちなみに、機器認証を解除すると端末からはデータが削除される。

 Rabooのコンテンツライナップは現在1万5000点ほど。ほかの電子書籍ストアが3万点を超えるラインアップとなっていることを考えると心もとないが、楽天の戦略としては、紙書籍の売れ筋をしっかりと取りそろえることに注力する姿勢を見せているので、ライトな読者のニーズには十分に応えることになるだろう。

 以下は8月15日時点のRaboo総合ランキングだ。ほかの電子書籍ストア、例えばTSUTAYA GALAPAGOSやReader StoreBooklive!のランキングと比較してみると、また感じが変わっているのが興味深い。

8月15日時点のRaboo総合ランキングTOP10

順位 作品(著者・価格
1位 水滸伝 曙光の章(北方謙三:449円)
2位 成功の法則92ヶ条(三木谷浩史:840円)
3位 官僚の責任(古賀茂明:600円)
4位 成功のコンセプト(三木谷浩史:473円)
5位 2015年の電子書籍(野村総合研究所:1300円)
6位 スマートマネー経済圏(野村総合研究所 電通:1500円)
7位 日本病 大前研一 「世界脳」のつくり方[3](大前研一:600円)
8位 トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる〜居酒屋の神様が教える繁盛店の作り方〜(宇野隆史:1500円)
9位 勝間和代の学び旅「マナベル」(勝間和代:840円)
10位 成金(堀江貴文:1050円)

長く使える1台になるか

 以上ざっと試用してみたが、体感速度的にはAndroid 3系を搭載したタブレットなどと比べても見劣りせず、それでいて適度に小型である7型タブレットは、事前に抱いていた印象と比べ、意外によかった、という印象だ。個人的には、アプリのインストールやAndroid Marketの利用が可能になればさらによいと思うが、それは今後の期待としておこう。

 ネックとなるのは価格と将来性だろうか。3万4800円というUT-PB1の価格はタブレットとしては安価だが、専用端末として見るなら、普及価格帯というにはまだ高い。また、今後iOSやAndroid向けアプリの提供といったシナリオも想定される。この辺り、専用機でどういった価値を訴求していくつもりかは一種の試金石となるだろう。

 将来性としたのは、Android OSのバージョンアップの予定もそうだが、むしろサポートする電子書籍フォーマットがどう拡大するかにある。現時点でRabooがXMDFの電子書籍のみを扱っているということは、例えば講談社のようにXMDFで作品を提供していない版元の作品はRabooで見つけられないということになる(実際、現時点でRabooに講談社作品を見つけることはできない)。

 ただ、楽天、ソニー、パナソニック、紀伊國屋書店の4社は、電子書籍ストアや端末の垣根を越えた相互利用の実現を志向している。将来的には、例えばReader Storeで購入した.bookの電子書籍もUT-PB1で読めるようになる可能性は高いし、さらにEPUB 3などのサポートも視野に入っていることだろう。UT-PB1におけるファイルフォーマットのサポートがどう拡大するかが1つのポイントといえる。


 電子書籍ストアはあまり利用しない、という方でも、楽天やAmazonなどのオンラインストアを利用したことはあるかもしれない。楽天で電子書籍を扱うようになったことで、わたしたちの生活スタイルの中で電子書籍という選択肢がより身近なものになっていくことは想像に難くない。数ある電子書籍ストアの中でもよりユーザーに受け入れられやすい素養を持つRabooが電子書籍のコモディティ化を進めてくれるのかもしれない。

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