本大好き司書メイドの好感度を上げ、年に一度のデート権を得るべく繰り広げられるメイドたちのラブアタック。21回目は、司書・ミソノからのご紹介です。
この街の片隅に、メイドが営む私設図書館がありました。そこには書架を守る司書メイド・ミソノがいます。
すっかり秋めいて過ごしやすくなったその図書館の書架の一角で、今日はミソノが司書見習いのメイドへ、本をお薦めするようですよ。
この間、サヤちゃんが紹介してくれたマンガは、ある意味「神」の名で呼ばれる少年が主人公。時に異世界に行くこともあるとか。そうですね、異世界の扉はひょんなところから開くかもしれませんね。
今日、わたくしが紹介するのは『地球のかたちを哲学する』という児童向けの本です。サヤちゃん、「地球の形を思い浮かべてください」と言われたら、どんな形が浮かびますか?
やはり地球というと、丸い姿を想像いたします。あ、でも科学の時間に、自転の遠心力で少し横につぶれた形をしていると聞いたことがありますよ!
そうなのそうなの! まんまるとは違う説もありますね。地球の形なんて、案外あやふやなものなのです。
地球が丸いと言われはじめる前、みんなの頭の中では、大地はだいたい平たいものでした。しかもお盆のように丸かったり、ペンダントのように十字の形だったり、平らな大地を亀が支えていたり、ヘビが巻きついていたり……。今となっては「いやいや、そんな」と思わずつっこんでしまう自由な発想が、この本にはたくさん載っています。古くから、人が地球の姿をどのようにとらえてきたか、それがおおよその時系列に沿って、コメントとイラストで掲載されています。
もうほんと、不思議な世界のオンパレード。山があって川があって海があるのはだいたい共通していますが、それ以外にこんなにバラエティに富んでいるとは。大地の下に牛がいて、それが地震を引き起こす? その不思議さに感嘆するのと同時に、大地を支えるいきものは、総じて神様として祀られているものが多く、この世界の不思議と敬虔な気持ちで向き合ってきた人たちの思いも感じます。あちらこちらの神話にも関係してくるので、ファンタジー好きな方は「あ、これ知ってる」という説もあるのではないでしょうか。
わたくしは日本神話が好きなのですが、その中にも世界の成り立ちとか、今のわたくしたちからすると「そんなのあり得ないよ!」と思ってしまうようなことがたくさんでてきます。
でもそんなあり得ないことでも、昔の人たちは真剣に信じて向き合っていた。その純粋さというかひたむきさを思うと、なんだか胸が熱くなってまいります。だってもし牛さんのご機嫌次第で地震が起こるとしたら、もう全力でお祀りするしかないですよね?!
お祀りしますねぇ! 信じる心が足元の形を決めてしまう……ほらほら、哲学っぽくなってきましたよー。
しかし驚きなのが、ごく最近まで、「地球の中にはもう1つ地球があるんだってば!」とか「地球の内部き空洞になって、そこには地底の街がある!」と大真面目に唱えた方々がいらっしゃること。「地球が丸いこと……そこは承諾するよ。でも、中身は違うかもしれないし!」という無限の可能性……。世界はこんなにも広い。
まあ、そのような考え方もあったのですね!
ええ。先ほどは「思わずつっこんでしまう」と書きましたが、読み進めると「地球が丸いと言われてもすぐにはうなずけない…その気持ち、分かるわ」と独りうなずく自分がいました。だって、わたくしはまだこの目で地球の全体像を見たことがないのですもの。こんにちでも、深海の底へ辿り着くこともままならないわたくしたち。地球のどこかには、秘密の扉がまだ隠されているかもしれないですよ。そして、日々進化して、星のかなたへ飛んで行くロケットや、深海のイカを探す船が情報を得て、新たな驚きをわたくしたちにもたらしてくれるかもしれません。
意外な地球の形、頭に思い浮かんだかしら?
なるほど! 確かに地球の中を見たことがないなら、地底の街がないとは言い切れませんね。地底人とかがいたら面白そう! 地底の方々はどんな姿をしているのでしょうか? わたくしたちとは仲良くやっていけるのでしょうか?
想像がふくらみますねー。
この本は、ひざに乗せても少し大きいくらいで、なかなかに分厚いけれど、ページ数は多くない……子ども向けの本棚に置かれており、絵本として取り扱われることも多い本ですが、中身は細かい字です。大人でも意外と読み応えありますよ。ページに収まりきらないイラストは、折り込みの仕掛けで補われており、ぱたぱためくるのもわくわくしますよー。
本への愛情、オススメの仕方が上手だとミソノの好感度アップ! それぞれミソノの心を占めている割合は……?
エリス:12% レイラ:21% サヤ:26%
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