書店員推薦！ おすすめ歴史漫画15選【歴史漫画年表つき】（2/2 ページ）

[ぶくまる]

世界編

　世界編では、古代オリエントや中世ヨーロッパ、そしてフランス革命などをテーマにした作品をご紹介します。古代のロマンに酔いしれるもよし、英雄たちの武勇伝に胸躍らせるもよし。壮大な歴史絵巻をぜひご堪能あれ。

激動の古代オリエントを描く歴史大作『ヒストリエ』

『ヒストリエ』　岩明均／講談社

　現在、『月刊アフタヌーン』にて連載中の本作。舞台は紀元前4世紀。マケドニア王国（現在のギリシャ周辺）のアレクサンドロス（アレキサンダー）大王に仕えた実在の人物・エウメネスの生涯を描いています。

　有名なアレクサンドロス本人ではなく、書記官であるエウメネスを主役に据えたところが本作の特徴であり、最大の魅力と言えます。

　エウメネスの人生はまさに波瀾（はらん）万丈。幼少期は有力者の次男として恵まれた日々を送りますが、父親の死とともに奴隷へと転落。そのまま底辺層の住民として生きていくはずが、たぐいまれなる判断力と豊かな教養、冷静さと度胸とを発揮し、ついにはアレクサンドロスの臣下として辣腕（らつわん）を振るうに至ります。

　エウメネスが知略と策謀を駆使して難関を切り抜けていくストーリーの面白さもさることながら、緻密に張り巡らされた伏線や、淡々としていながらもすごみのある残虐描写も魅力のひとつ。知的興奮をかき立てられる良作です。

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世界を股にかけた、男たちのロマン『ヴィンランド・サガ』

『ヴィンランド・サガ』　幸村誠／講談社

　11世紀後半の北ヨーロッパを舞台に、世界を股に略奪を繰り返していた最強の民族・ヴァイキングたちの生き様を描く本作。主人公はアイスランド出身の少年・トルフィン。ヴァイキングの首領・アシェラッドに父親を殺された彼は、復讐（ふくしゅう）のため、仇であるアシェラッド兵団に身を置く。

　本作の魅力は、トルフィンをストーリーの中心としながらも、群像劇のように脇役たちの人生に焦点が当たっていくところです。なかでも、トルフィンの仇でもあるアシェラッドは、影の主役とも言うべき魅力の持ち主。残忍でずる賢い……悪人とさえ呼べるその性格ながら、巻数が進むうちに彼の奥深い魅力に取り込まれていきます。彼とトルフィンとの疑似親子関係は、きっと皆さんの胸にも迫るはず。

　また、『プラネテス』でも評価された画力は、本作でも健在。衣装や風景描写など、歴史漫画の肝とも言える時代の空気感はもちろん、登場人物の表情が本当に素晴らしく、せりふなしでも彼らの思いが伝わってくるほど。

　善悪では計りきれない、熱い「漢」たちの生き様にぜひ触れてみてください。

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フランス革命と言えばこれ！『ベルサイユのばら』

『ベルサイユのばら』　池田理代子／フェアベル

　“ベルばら”の愛称でも知られ、宝塚での舞台化やアニメ化など、メディアミックスの先駆けともいえる本作。

　舞台は18世紀フランス。王妃マリー・アントワネットと近衛連隊長である男装の麗人・オスカルを中心に、フランス革命という大きな歴史の波に翻弄されながらも、華々しく生きた人々を描いています。

　史実に基づいたドラマティックなストーリーは男性にもオススメですが、何よりも魅力的なのは、オスカルその人です。美しく凛々しく、誇りと正義感に満ちあふれたその姿は、まさに少女の憧れを体現したかのよう！　そんなオスカルと、オスカルを陰ながら支え続けたアンドレとの悲恋は涙なしには読めません。

　連載開始は40年前ですが、最近でも女性向けファッション誌の表紙を飾ったり、新作エピソードを収録したコミックスが発売されたりと、今も愛され続けている作品です。

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ボルジア家の光と闇を華麗に描く『チェーザレ 破壊の創造者』

『チェーザレ 破壊の創造者』　惣領冬実・原基晶／講談社

　マキャヴェッリが『君主論』で、理想の君主として掲げた中世イタリアの貴族・チェーザレ・ボルジアの人生を、華麗な筆致で描く本作。

　物語の視点はチェーザレ自身ではなく、のちに彼と深く関わることになる青年・アンジェロ。平民である彼が語り部となることで、当時の時代背景や複雑な権力関係が読者にも分かりやすく伝わる仕組みになっています。

　詳細な史料を基に描かれた本格歴史ものと呼べる本作ですが、魅力あふれるキャラクターや、丁寧な心理描写など、漫画としての魅力も十分。大人びて見えるチェーザレの意外な子供っぽさや、腹心であるミゲルとの主従関係にときめく女子も多いのでは？

　『ボーイフレンド』や『MARS』など、少女漫画家として第一線で活躍してきた惣領冬実先生だけあって、精密な背景や人物の麗しさは特筆モノ。ダヴィンチやミケランジェロなど、当時を代表する偉人たちがさりげなく登場するのも楽しみの1つと言えます。

　現在も『モーニング』にて連載中の本作。中世ヨーロッパの空気にじっくりと浸りたいときにオススメです。

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勉強に最適！　学習漫画

　小学生のころ、誰もが手にとった思い出のある「学習漫画」。教科書の内容はなかなか覚えられないのに、漫画だと苦もなく理解できた……という方も多いのではないでしょうか。

　ここでは、面白くてためになる、おすすめの学習漫画をご紹介します。

これで日本史は完璧！　『学研まんが日本の歴史』

『学研まんが日本の歴史』　樋口清之・堀江卓・伊東章夫・原島サブロー・大倉元則／学研

　古代から現代までの歴史を、全17巻にまとめてあります。

　学習漫画らしい、分かりやすく親しみやすい絵柄で、小学生〜中学生の勉強に最適。昔、学校の図書館で読んだ方も多いのでは？　日本史の全体観をつかむために、大人になってから読んでもためになります。

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世界史がざっくりわかる！『学研まんが世界の歴史』

『学研まんが世界の歴史』　長澤和俊・ムロタニツネ象／学研

　全15巻に世界史の全容がまとめられた本作。

　巻によって扱う時代と地域が異なるため、興味のある部分だけ読むこともできますが、大きな歴史の流れを読むという意味では通読がオススメです。

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歴史漫画年表

　代表的な歴史漫画を、地域・時代別に年表にまとめました。歴史漫画探索にお役立てください。

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まとめ

　いかがでしたか？　ここに掲載した作品は、歴史漫画のほんの一部に過ぎません。

　面白い作品はほかにもたくさんあるので、付録の年表などを利用して、さらなる歴史漫画の旅に出られてはいかがでしょうか？　きっと、あなたの心を熱くする作品に出会えるはずです。