日本のiPadに足りない雑誌や書籍を提供する――孫正義氏が語った「ビューン」
6月1日から、iPadやiPhone、iPod touch、ソフトバンク3Gケータイ向けに始まる定額コンテンツ配信サービス「ビューン」その狙いを孫正義氏自らが語った。
「iPad、売れています」――。
ビューンが開催した記者説明会の冒頭で、ソフトバンクの代表取締役社長、孫正義氏は満面の笑みでこう切り出した。
「iPadのない生活は考えられない。iPadを、iPhoneの画面が大きくなっただけだと思っている人がいるかもしれないが、決してそうではない。iPhoneを持っている人こそiPadは必要だ。もちろんiPadを持っている人はiPhoneがいらないわけでもない。両方をセットで使うことでさらに良さが出てくる」(孫氏)
ビューンは、ソフトバンクグループの企業。6月1日から、iPad、iPhoneおよびiPod touchと、ソフトバンク3Gケータイ向けに、定額料金でコンテンツを配信するサービス「ビューン」をスタートする。既報の通り、毎日新聞、西日本新聞、スポーツニッポンの特別編集版や、発売日当日から主要な記事を誌面そのままのレイアウトで閲覧できる雑誌21誌、さらに日本テレビ放送網の「日テレNEWS24」の最新ニュース(動画とテキスト)などが月額315円から450円/30日という料金で購読できるサービスだ。
このサービスをソフトバンクグループの企業で手がける理由を孫氏は「日本で唯一、コンテンツの塊として足りないといわれていた部分がある。それが雑誌や書籍。そこで、ビューンという新しいサービスを発表する」と話した。
新聞やガイドブック、そして比較的多くの人になじみのある有名雑誌タイトル21誌をラインアップ。合計31紙・誌とTVのニュース番組が楽しめる。
「ビューン」(Viewn)という社名は、「ビューンという勢いで、美しいコンテンツを美しい形でユーザーに届けたい」という願いに由来する、とビューン代表取締役社長の蓮実一隆氏は言う。
iPadやiPhone、iPod touchでは、App Storeから専用のアプリをダウンロードして購読する。価格はiPadが30日間で450円、iPhoneとiPod touchが30日間で350円。アプリを起動すると、上部に中吊り広告のような見出しの入ったバナー広告のようなグラフィックが表示され、中段に雑誌、下段に日テレNEWS24のデータが並ぶ。雑誌はほぼ紙の雑誌と同じレイアウト・誌面で閲覧できる。新聞はiPadやiPhone向けに読みやすく再構成されており、前日の朝刊の先取り記事が夜10時くらいに配信されるといったビューンならではのサービスもある。ケータイ向けには、月額315円のサービスとして提供する。
ビューンでは、雑誌の発売日から全ページが配信されるのではなく、次号が発売されるまでに順次内容が配信されるものも多い。ラインアップの7割は、次号が発売されるまでにほぼ内容がすべて配信されるというが、最初に特集記事などが配信され、その後日を追うごとに内容が増えるといった配信方法を採るようだ。もちろん、ガイドブックなど最初から全ページがそろった状態で配信されるものもある。
紙面に掲載される広告は「全面広告のようなものは基本的に非表示にしている」と蓮実氏。記事内の広告やタイアップ記事についてはケースバイケースで対応する。コンテンツ提供社には、アプリの手数料をAppleに払った後、一部をビューンが取得して、残りを分配する仕組みだ。ソフトバンクモバイルが、同社の3Gケータイ向けに提供している「コンテンツ得パック」と似たような取り組みと言える。
具体的な契約の獲得目標は掲げていないが、蓮実氏は「1万2万ではなく大きな数字を狙っていく」と自信を見せた。
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