エンタープライズ:ニュース 2003/05/13 22:40:00 更新


続々と登場するWindows Server 2003の追加コンポーネント

リリース後もさまざまな機能が追加コンポーネントとして提供されるマイクロソフトの「Microsoft Windows Server 2003」。第5回プレス向け「Windows Server Reviewer's Workshop」では、これら追加コンポーネントが整理された。MMS、ADS、WSS、RTC Server、RMSなどが、第3四半期から第4四半期にかけて続々と登場する。

 米国時間4月24日に正式発表されたマイクロソフトの新サーバOS「Microsoft Windows Server 2003」。日本語版についても開発を終了、正式リリースを待つまでになった。Windows Server 2003では、リリース後も“さみだれ式”とも言えるアプローチで、追加コンポーネントが続々と登場する。第5回となったプレス向け「Windows Server Reviewer's Workshop」では、これらが整理された。

「Windows Server 2003は非常に多機能。すべての開発を完了してから(提供するというの)では、いつまでも開発が終わらない。また、メジャーバージョンアップだけで機能追加していくのでは、世の中のスピードについていけない」(マーケティング本部Windowsサーバ製品部シニアプロダクトマネジャー、吉川顕太郎氏)。このため、追加コンポーネントというアプローチになったと話す。

 Windows Server 2003の追加コンポーネントには、(1)Active Directory(AD)のグループポリシーの効率運用を可能にする「Group Policy Management Console」(GPMC)、(2)メタディレクトリーサービスの「Microsoft Metadirectory Services 2003」(MMS)、(3)サーバのプロビジョニングを自動化する「Automated Deployment Services」(ADS)、(4)コラボレーション機能「Windows SharePoint Services」(WSS)、(5)企業向けのインスタントメッセージング(IM)技術「Microsoft Real-Time Communications Server 2003」(RTC Server)、(6)企業内情報保護機能の「Windows Rights Management Services」(RMS)などが予定されている。

 (1)〜(3)は、ITインフラストラクチャの拡張機能と位置付けられており、(4)〜(6)はインフォメーションワーカーインフラストラクチャの拡張機能と位置付けられている。ほとんどの機能が2003年第3四半期から第4四半期にかけて登場してくる予定だ。

「Group Policy Management Console」(GPMC)

 4月9日からいち早く提供されているGPMCは、ADのグループポリシー管理機能を強化するコンポーネントだ。ADのグループポリシーオブジェクト(GPO)の設定をドラッグ&ドロップで行えるほか、複数フォレストにも対応し統一したフォレスト管理が可能になった。また、AD展開のシミュレーション機能なども備え、テスト環境で実証済みのグループポリシーを運用環境に展開できるようになった。GPMCを実行できるOSは「Windows XP Professional SP1」とWindows Server 2003。GPMCは内部的に.NET Frameworkが利用されているため、Windows XPで利用するには.NET Frameworkのインストールが必要となる。Windows 2000 ServerのADも管理対象にできる。

「Microsoft Metadirectory Services 2003」(MMS)

 ディレクトリを統合するための機能となるMMSは、製品として販売されるEnterprise EditionとWebダウンロードで無償提供されるStandard Editionの2種類がリリースされる。Enterprise Editionは、「Novell eDirectory」や「Lotus Notes」をはじめ異種ディレクトリを統合できる製品なのに対し、Standard EditionはAD関連の機能のみに対応する。Standard Editionは、「Exhanege Server 2003」に同梱される予定で、同製品と同時期のリリースになるとしている。

「Automated Deployment Services」(ADS)

 ADSは、空のサーバから自動でサーバを構築する自動プロビジョニング機能と、多数のサーバをスクリプトで集中管理するためのフレームワークを提供するもの。マイクロソフトの自律型コンピューティング戦略「DSI」のスタートアップ機能と位置付けられている。ADSはWebダウンロードで2003年第3四半期に提供する予定。

「Windows SharePoint Services」(WSS)

 SharePoint Team Serviceが前身となるWSSは、ファイルサーバとイントラネットのWebサーバを統合するという考え方に基づき、企業内の情報共有を効率化するもの。Office 2003からは、直接WSSにアクセスできる機能が搭載される。Office 2003を導入しない場合はブラウザ経由で利用できる。WSSも2003年第3四半期の提供予定。

「Microsoft Real-Time Communications Server 2003」(RTC Server)

 RTC Serverは、企業向けにIMの管理機能やセキュリティ機能などを提供するもの。プロトコルにはSIPを利用する。RTC ServerのAPIを利用して、サードパーティによるSIPフォンなどとの連携を可能にする。同機能はライセンス販売を予定しているが、現在のところ体系、価格ともに未定。提供時期は2003年第3四半期以降を予定している。

「Windows Rights Management Services」(RMS)

 機密情報を保護するための機能となるRMSは、情報の入手者が情報をどのように利用できるのか、といった権利を管理するためのもの。たとえば、メールの再配布を禁止したり、印刷、コピー&ペースト、スクリーンショットを禁止するなどの設定が行える。単にアクセスをコントロールするのでなく、情報にアクセスした人間が行える行動の権利を管理するためのものだとしている。Office 2003が対応アプリケーションとなるほか、クライアント用ソフトウェアとして、「Internet Explorer」のアドオン、Rights Management APIsが提供される。提供方法は未定だが、2003年第3四半期から第4四半期にかけてリリースする予定だ。

関連記事
▼Windows Server 2003 Launch Event Report
▼“さみだれ式”出荷のWindows Server 2003
▼Windows Server 2003で、グループポリシー管理作業が大幅に軽減される
▼Microsoft Metadirectory Services 2003が実現する異種ディレクトリサービスの統合
▼マイクロソフトの自己管理型コンピューティング戦略「DSI」とは?
▼新サーバコンポーネントRMSとWSSで付加価値高まるWindows Server 2003
▼MSN MessengerとWindows Messenger、どっちがどっち?
▼Windows.NETチャンネル

関連リンク
▼マイクロソフト

[堀 哲也,ITmedia]