エンタープライズ:ニュース 2003/07/01 13:00:00 更新


データを中心としたソリューション企業へ拡大を図るベリタス

「ストレージ管理の枠を超え、データを基点としたソリューション企業へ拡大する」。ベリタスはプリサイスの合併完了を受け、アプリケーション管理分野へ乗り出す。その目標は、ユーティリティコンピューティングの実現だ。

 ベリタスソフトウェアは、昨年12月に買収を発表したPrecise Software Solutions日本法人の合併を6月28日付けで完了。これまでプリサイスのブランドで発売されてきたアプリケーションパフォーマンス管理製品を、ベリタスブランドとして提供し始めた。

 プリサイスは、SAP、PeopleSoft、Oracleといった企業向けアプリケーションやデータベースのパフォーマンス管理ソフト「i3」およびWindowsのストレージリソース管理とクオータ管理に特化した「StorageCentral」を提供していた。ストレージ管理ソフトを中心に展開してきたベリタスは、プリサイスの技術を手に入れることで、ストレージ管理ソフトを中心とした企業から、データを中軸にITインフラ全体にわたるソリューション企業へ拡大を図る。

 ベリタスは5月に行ったユーザーカンファレンス「ユーティリティコンピューティング」の実現という戦略を掲げた。プレサイスの買収計画はこの戦略への布石だった。同社は、i3をユーティリティコンピューティング実現のための第1弾製品と位置付ける。

 i3は、パフォーマンス測定の「Insight」、パフォーマンストラッキングなどで問題を分析する「Indepth」、レポート機能の「Inform」といった主要コンポーネントで構成され、アプリケーションパフォーマンスを監視。問題があれば自動検出し原因をピンポイントで特定する。また、問題解決のためのサジェスチョンも提供する。プリサイスの技術の獲得は、ストレージの可用性に注力してきたベリタスの技術を生かしながら、アプリケーションレベルにまで拡張できるものだという。

 StorageCentralは、Windows環境のストレージリソース管理と割り当て管理に特化した製品。ストレージに対する需要を自動でコントロールし、Windows環境におけるサーバの可用性とパフォーマンスを向上する。

 これまでヘテロジニアスな環境でのストレージ管理を実現すべく主要プラットフォームへの対応を進めてきたベリタスは、企業システム全体のサービスレベルを高め、必要に応じて自動でリソース分配と共有を実現する、ユーティリティコンピューティングを中立の立場で推進できると考えている。

 同社の木村裕之社長は、「ハードウェアベンダーが付加価値的に提唱してきたユーティリティコンピューティングの概念だけでは限界点にきてしまう」と話す。そこには、混在環境で構築されている既存システムを生かすという点が抜け落ちているからだという。木村氏は、混在環境という難しいところに投入される製品がその限界を越えられるようにすると力を込める。

 一方で、アプリケーションパフォーマンス管理ソフトを抱えていなかったベリタスは、一面でビジネスチャンスを失ってもいた。クラスタソフトを提供していながらも、クラスタを構成するサーバのパフォーマンスを管理する方法がなかったからだ。顧客からのニーズはありながらもシステムインテグレーターなどが設定するしきい値に頼るしかなかった。

 i3はこれを補完する製品ともなるようだ。同製品がパフォーマンスを監視するため、クラスタと併せパフォーマンス最適化ソリューションを提供できるようになるという。

 i3のリリース以降もユーティリティコンピューティングを実現するための中核製品が投入されてくる。国内での提供時期は未定だが、米国では今年中に、Jareva Technologiesの買収で獲得したサーバの自動割当と自動インストールを可能にする「OpForce」、サービスレベル管理ソフト「Service Manager」が順次提供される予定だ。

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[堀 哲也,ITmedia]