エンタープライズ:ニュース 2003/09/10 16:20:00 更新


基調講演:米IntelのバレットCEO、「企業にとってITはますます重要になっている」

Oracle World 2003 San Franciscoの2日目、基調講演に米Intelのクレイグ・バレットCEOが登場し、コンピュータを効率的に使用することが企業が市場競争をしていく上でますます不可欠になっていることを、さまざまなユーザー企業を取り上げて紹介した。

 サンフランシスコで開催されているOracle World 2003 San Franciscoの2日目となる9月9日、基調講演に米Intelのクレイグ・バレットCEOが登場し、コンピュータを効率的に使用することが企業が市場競争をしていく上でますます不可欠になっていることを、さまざまなユーザー企業を取り上げて紹介した。

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Intelのクレイグ・バレットCEO

 バレットCEOは、「Intelは顕微鏡でしか見えないようなトランジスを何億個も生産しているが、これはITなしではできない」と自社システムの未来もまた、コンピューティングの発展があってこその話であることを確認した。

 この日は、Intelのプロセッサを搭載したサーバやワークステーション、PCがいかに各方面の企業の生産性を高めているかを紹介するために、多くのゲストも招かれている。

 そのうちの1つが、自動車メーカーのFordだ。同社は、創立100周年の記念車について、仕様の90%をCADを使ったシミュレーションで設計した。「金属を切らなくてもCADの画面を見れば設計ができる」と、フォードの担当者も自信ありげに話している。

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Fordが開発したFordの100周年記念車が突然会場に現れ、聴衆の度肝を抜いた。バレットCEOが「私もほしい」と話すとFordの担当者は「小切手をもらえれば今すぐにでも契約します」と対応した。

ホテルの最適立地場所をシミュレーション

 また、別のゲストとして登場したのは、3Dのマッピング技術を用いたシミュレーションを提供する米Skyline。

 同社は例えば、ある高級ホテルチェーンが新規にホテルを建設する場合に、どの地域を選べばいいかのシミュレーションを全米の3D地図をベースに提供する。このシステムの場合、64ビットのLinux環境でItaniumが利用されているという。

 ホテルのオーナーは、全米の地図を見ながら、州や地域を絞り込んでいき、最終的な立地候補を、最寄にどんなホテルやレストランがあるか、想定される顧客層など、さまざまなデータを考慮しながら意思決定していくという。

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ホテルの立地条件を考慮しながら3D地図を用いてシミュレーションが行われた。

宇宙科学分野ではホーキング博士も利用

 さらに、英ケンブリッジ大学からは、宇宙科学研究の権威であるホーキング博士もビデオで登場した。

 ケンブリッジ大学では、宇宙そのものや物質がどこから来て、今後どうなっていくのかを研究している。Itanium 2を153個搭載したSGI製のサーバを用いることで、すべて画像から現実的にシミュレートできるという。

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ホーキング博士のこの笑顔でバレットCEOの講演を終わりを迎え、場内からは笑いと拍手が起こった。

 講演をまとめたバレットCEOは、「グローバル経済が進み、競争が激化しており、たくさんの仕事を限られた人数でやらなくてはならなくてはならない」と述べて、コンピューティングを企業のリソースとしていかに活用するかがテーマになることに触れた。

 さらに同氏は、コンピューティングリソースの使用率を上げることを課題としており、Oracleの10gにおける戦略の方向性が正しいものであるという考えを加えている。

「(Intelはプロセッサメーカーだが)顧客に提供する上で本当に必要なのはソリューション。その意味で、Oracleのような企業と協力してビジネスを展開していきたい」(バレットCEO)

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[怒賀新也,ITmedia]