HP、ソフト事業の黒字化は「1年以上先」

» 2004年06月09日 10時37分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米Hewlett-Packard(HP)の幹部らは6月8日、カリフォルニア州サンノゼで開催の金融アナリスト向けの説明会で、同社のハードウェア事業は上向いているが、ソフトウェア事業の利益回復には、まだ1年以上かかるとの見通しを示した。

 カーリー・フィオリーナCEOは、「ソフト事業の黒字回復は、当初の見通しより遅れている」と述べた。

 HPの直近の四半期決算でソフト事業は前年同期比23%の増収を記録、最も売り上げの伸びの大きな部門の一つとなっているが、まだ部門黒字回復に至っていない。この傾向は、あと最低1年続く見通しだという。「当社では、2005年末までに収支トントンに持ち込む計画でいる」と、HPテクノロジーソリューショングループ執行副社長のアン・リバモア氏は述べた。

 フィオリーナCEOによると、ソフト事業で利益が出せていない理由には、この1年で研究開発に1億ドル投じたこと、TruLogica、Consera、Novadigmといったソフトメーカー6社の買収にさらに数百万ドルを投じたことなどがある。

 HPではAdaptive Enterpiseと呼ばれるコンピューティングアーキテクチャ構想を推進しているため、この傾向は来年まで続くという。「ソフト事業を黒字に戻したいのはやまやまだが、当社はソフトに相当な集中投資を行っているので、黒字回復は恐らく2005年以降になる」とフィオリーナ氏。

 同氏は、今年のIT支出の伸びは2%にとどまると予測している。だが、プリンタおよびハードウェア事業の伸びによって、今年10月締めの同社2004年度売上高は、70億ドル拡大して約800億ドルと見込んでいるという。

 Merrill Lynchのアナリスト、スティーブン・ミラノビッチ氏は7日、HPは会社を二分割すべきだと提言したが、フィオリーナ氏には、Compaq買収からわずか2年でさらにリストラをかけるという考えはなさそうだ。

 「一つの会社になってこの数年、多くの変更を行ってきた。その重労働をわれわれは成し遂げたが、まだ事業改善のための作業は残っている」(フィオリーナ氏)

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ