HPが注文処理問題の早期解決を約束

HPはSAPの注文処理システムに関連した移行のトラブルが、今回のサプライチェーン問題の原因であることを明らかにし、事態解決のために全力で臨んでいることをアピールしている。また、先週の低調な決算報告は技術ロードマップの変更につながることはないとしている(IDG)。

» 2004年08月19日 14時56分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Hewlett-Packard(HP)は今週開催中のHP Worldで、注文処理に関連した問題を今月末までに解決するために「非常時態勢」で臨んでいると発表するなど、事態の収拾に追われている。さらに同社は、先週の低調な決算報告が技術ロードマップの変更につながることはないと述べた。

 HPの四半期売上高は全体としては増加したものの、エンタープライズストレージ&サーバ事業の売上高は5%の減少となった(8月13日の記事参照)。これに対してカーリー・フィオリーナCEOは3名の経営幹部を解雇するとともに、業務執行に問題があることが原因だと指摘した(8月13日の記事参照)

 バーモント州サウスバーリントンにある医療技術プロバイダーのIDX Systemsも、今回の注文処理をめぐるトラブルで影響を受けたHPの顧客の1社だ。同社でシステム管理者を務めるパトリック・スラッテリー氏は約3週間半前に、Intelベースの「ProLiant」サーバ2台をHPに注文した。

「まだ届かない」とスラッテリー氏は話す。HPに電話で問い合わせたところ、まだ入荷していないと告げられたそうだ。通常なら5日ほどで納品されるはずだという。

 スラッテリー氏によると、HPの幹部がこの問題をカンファレンスで明らかにするまで、何が原因で遅れているのか分からなかったという。「サプライチェーンにトラブルが起きているなど、思いも寄らなかった」(同氏)

 同じHPの納品問題でも、ケース・デンハリー氏の場合はスラッテリー氏のそれとは正反対だ。カナダのアルバータ大学のシステム/ネットワークアナリストであるデンハリー氏は、注文した製品を予想通り6月に受け取った。しかし同氏はストレージアレイとOpteronベースのサーバを1セット注文しただけなのに、届いたのは2セットだった。同氏はHPに電話した。

「彼らは包み隠さず話してくれた。同社はCompaqとHPのERPシステムを統合したのだが、プロセス全体を複製する際にミスがあり、同じ注文が2カ所に含められてしまったそうだ」とスラッテリー氏は話す。余分に納品された品物はまだ箱に入ったままで、いずれ返却するという。

 HPは先週、SAPの注文処理システムに関連した移行のトラブルが、今回のサプライチェーン問題の原因であることを明らかにした。

 HPのビジネスエンタープライズシステム部門のディレクター、ジョー・ナドラー氏はカンファレンスのフォーラムで、「8月末までにはほぼ完全に復旧する見通しだ」と述べた(8月18日の記事参照)

「残念ながら、大きな遅れが起きたのは事実だ。処理が遅れている注文をさばくために大胆な計画を用意した」とナドラー氏は話す。同社では「非常時態勢」でこの問題に取り組んでおり、問題の原因は既に特定されたという。「修正作業はまもなく完了する」(同氏)

 HPでは、自社の技術の方向には一切変更がなく、計画を変更する予定もないと主張している。しかしそれでもユーザーの不安が解消されていないようだ。ワシントン州クラーク郡のシステム管理者を務めるポール・ガーク氏も、そんなユーザーの一人だ。

「四半期決算報告の内容は短期間で変わる可能性がある」と言うガーク氏は、今のところ、クラーク郡ではPA-RISC/HP-UXベースのシステムを使い続ける方針であり、すぐにアップグレードする予定はないとしている。「次はUNIX事業の業績悪化のニュースを聞かされるのではないかと心配だ」と同氏。

 一方、オハイオ州クリーブランドにあるカイヤホガ・コミュニティーカレッジ(学生数は5万5000人)の運用マネジャー、ジョン・ホーエンフェフド氏によると、HPの決算発表で少し不安になったが、彼らは安泰だと思う」と話している。

 たぶん安泰かもしれないが、HPユーザーグループのInterexのデニス・ボーチェミン理事長は、HP幹部が出席したパネルディスカッションで質問を「どしどし浴びせるよう」出席者に促した。

 HPの幹部の一人はこの言い方に引っかかったようで、「どしどし浴びせられても困る」と素早く応戦し、出席者の笑いを誘った。

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ