フォレスターリサーチのアナリスト、ナビ・ラジョー氏は、2008年までに最も巨大なソフトウェア市場はミドルウェア分野になると予測する。アプリケーションプラットフォームには何が求められるのか。米webMethods製品開発担当上席副社長のクリスティン・ウェラー氏に聞いた。
フォレスターリサーチのアナリスト、ナビ・ラジョー氏は、「あらゆる企業はユニークな存在であり、ビジネスプロセスをパッケージに縛られるのを好ましく感じていない」「ビジネスアプリケーション市場は縮小する」と話し、2008年までに最も巨大なソフトウェア市場はミドルウェア分野になると予測した。
そうなった時、アプリケーションプラットフォームには何が求められることになるのか。「Integration World 2004」が開催されているカリフォルニア州サンディエゴで、米webMethods製品開発担当上席副社長のクリスティン・ウェラー氏に聞いた。
ITmedia 2008年までにパッケージアプリケーション市場が縮小し、企業が自由にビジネスプロセスを描けるミドルウェア市場がそれにとって代わるという意見があります。
ウェラー その考えに同意します。われわれの顧客からも、ビジネスの変更に耐えられるシステムを求めていて、かつベスト・オブ・ブリードでシステムを組みたいという要求が聞こえてきます。パッケージベンダーのSAPやPeopleSoftもそれに気づいているようで、彼らのソフトウェア環境/開発環境でユーザー自身が「マイクロ・アプリケーション」(小さなアプリケーションコンポーネント)を自在に作れることや、異種システムとつなげられることをアピールし始めました。
ITmedia 今の話は、フォレスターリサーチのアナリストから聞いた意見で、続きがあります。ミドルウェア分野が最大のソフトウェア市場になったとすると、SAP、Oracle、IBM、およびMicrosoftが4強になるという予測なのですが、webMethodsとしてはどう考えますか。
ウェラー われわれの顧客企業とSAPのNetWeaverについて話し合ったことがありますが、多くの人が「SAPはABAP以外で成功できないのではないか」と考えていることが分かりました。ミドルウェア企業になるために、SAPがソフトウェア・アーキテクチャを完全に変えてしまうことは難しいでしょう。
また、Oracleについてですが、アプリケーションサーバはまだまだ市場に浸透しているとは言えません。確かにデータベースでは確固たる地位を築いていますが、アプリケーションには機能的な不足を指摘する声が多く、強いとは言えない状況にあると考えています。
ですから、われわれは、SAPとOracleがミドルウェア市場で大きな地位を得られる存在になるととらえていません。
ITmedia IBMとMicrosoftはどうでしょう?
ウェラー 競合として意識しています。ただし、IBMは自社の技術を統合することに苦しんでいるのが現状であり、われわれの方がIBMより2年は進んでいると自負しています。
一方のMicrosoftは、使いやすいコンポジット・アプリケーション開発環境を構築できる能力があり、将来は実際に作るだろうと確信しています。ただし、自社の環境だけしかサポートできないことは弱みです。小企業・小プロジェクト向け市場では活躍するかもしれませんが、大企業の全社的なプラットフォームとして使われることは難しいでしょう。
webMethodsの目標は、顧客フォーカスのベンダーになること。そして、優れたソフトウェアプラットフォームを求める企業が、IBMとMicrosoft以外の唯一の選択肢として考えてくれることです。
ITmedia これらのベンダーも含めて、業界全体でSOA(サービス指向アーキテクチャ)がはやされていますが、これについてはどう考えていますか。
ウェラー 最近流行しているので、多くの顧客がSOAに関する情報を求めるようになってきました。しかし、SOAのコンセプトそのものは昔からあり、複数のシステムをつなぎたいという課題を解決することを目指していました。現在、それがようやく実現できるところまで来たということです。
ITmedia 技術的にはすでに実現可能ということですか。
ウェラー はい。われわれの顧客でSOAプロジェクトを進めている企業もあります。業種では、IT予算を多く取っている金融業が熱心ですね。計画中のところもあるので、2〜3年後になれば、大手企業のほとんどは、次世代ITシステムとして、ミッションクリティカル分野に何らかのSOAを実装していくのではないでしょうか。
ITmedia SOAを実装するために、アプリケーション・プラットフォームに何が求められるのでしょう。
ウェラー 複数のシステムインフラをサポートできる拡張型開発環境、ハイパフォーマンスな実行環境、およびアプリケーション開発における優れたユーザーインタフェースの3つが必要です。
ITmedia つまり、webMethods Fabricはそれをサポートしているということですね。
ウェラー ええ、もちろん(笑)。
ITmedia とはいえ、機能的に今後強化しなければならない部分もあるでしょう。それはどこですか。
ウェラー はい。さらに製品を成熟させるべく、投資を続けます。まず、古いメッセージングプロトコルをサポートすること。長く使っているシステムをこれからも使い続けたいという顧客も多いので、彼らがSOAの世界に飛躍するために必要になってくるでしょう。
また、メタデータのサポートを拡張する予定です。リポジトリだけでなく、メタデータとして幅広いエンタープライズ・データモデルをわれわれの環境の中で構築できるようにしなければいけません。
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