SOAは間違いなく現実解に――米ベリングポイントCTOInterview

SOAは、実装する上で現実的な状況になっているのか。また、問題点はないか。コンサルティングファームの米BearingPointでCTOを務めるボビー・ソニ氏に話を聞いた。

» 2005年08月03日 09時45分 公開
[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

 サービス指向アーキテクチャ(SOA)をベースにしたシステム構築は、欧米では既にかなり進んでいる。アプリケーションベンダーも、SAP、OracleおよびPeopleSoftなど、いずれもコンポジットアプリケーションと呼ばれるSOAにおけるアプリケーション開発手法への対応を図っている。最大手のSAPは、2007年までに、すべてのアプリケーションを同社のSOAへの取り組みであるESA(エンタープライズサービスアーキテクチャ)へと移行することを決めている。

 SOAは、実装する上で現実的な状況になっているのか。また、問題点はないか。コンサルティングファームの米BearingPointでCTOを務めるボビー・ソニ氏に話を聞いた。

SOAと併せてBPMも推進したいと話すソニ氏。

ITmedia CTOとしてどんな役割を担っていますか?

ソニ 1つは市場の将来を見据えて、ソリューションの方向性を捕らえること。もう1つは、戦略策定、導入を含めたシステムインテグレーションで、顧客企業に価値を提供することです。現在で言えば、既存資産を再利用するSOAによるシステム開発が普及することによって、システムインテグレータの役割が小さくなっていくのではないかという懸念がもたれています。

 しかし、われわれは違う考え方をしています。自動車や通信など、業種別の既存資産を再利用できる知的財産としてパッケージ化するニーズが、今後はさらに増えていくと考えています。

ITmedia SOAによるシステム構築は現実的に見て主流になると考えますか?

ソニ (Webサービスを実現する標準技術である)SOAPやWSDLをベースにした情報システムは既にNASDAQ上場企業のうちの100社で採用されており、メインストリームになろうとしています。

ITmedia 実際に、ミッションクリティカルなシステムをSOAで再構築する場合、Webサービスでは技術的に頼りない側面はないでしょうか。

ソニ 最初に断っておくべきことは、WebサービスイコールSOAではないことです。Webサービスはあくまでも、SOAでシステム構築をする場合の技術という位置づけです。そのWebサービスですが、もちろん、トランザクションやパフォーマンス、セキュリティなど、さまざまな問題が存在していることは確かですが、それらは克服されようとしています。

 たとえば、米国のSonic Softwareという企業が行ったベンチマークでは、SOAのバックボーンとなるESB(エンタープライズサービスバス)を基盤とするシステムのスループットが、メッセージキューイング(MQ)をベースとするシステムのものを上回りました。SOAは確実に現実解になりつつあるのです。

 当初、BearingPointやAccentureなどのシステム系コンサルティング企業は、Webサービスに関するコンサルティングで利益を上げられると考えいましたが、実際には、肩透かしになったような時期もありました。しかし、正確には、18カ月ほどの遅れがあったという状況だったのです。つまり、現在は、Webサービスに関わるたくさんのプロジェクトが立ち上がっているのです。

ITmedia 米国では具体的にどんな業種でSOAが導入されているのでしょうか?

ソニ 具体的には金融サービス業、連邦政府、製薬業などです。連邦政府は陸海空軍に導入しています。また、製薬業では、Basel II(新BIS規制)や米国企業改革法(SOX)など、コンプライアンスへの対応を図るためにSOA化が進められているケースが多いです。また、組み立て系の製造業、ハイテク業界も含めることができます。

ITmedia SOAが間違いなく主流になると考える根拠についてもう少し詳しく教えてください。

ソニ これまでに同じように業界でキーワードになった言葉として、オブジェクト指向やJavaなどが挙げられます。しかし、SOAはそれよりも確かな技術と考えていいものです。IBM、Oracle、SAP、BEA、Microsoftなど、主要ベンダーがいずれもSOAをベースにしたシステム構築に賛同しています。今まで、同じ市場で競合するソフトウェアベンダーが、同じ標準を採用することで合意したことはなかったからです。

 他の選択肢が市場に提供されていないということは、すなわち、SOAが主流になることを意味するわけです。

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