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» 2006年03月23日 11時58分 公開

IBM、「Eclipse」の支援を続行

IBMは、「Eclipse」と「IBM Rational」ソフトウェアなどの商用Eclipseをベースとするツールの両方を開発に使用したいと考える顧客を対象にしたサポートサービスを開始する予定だ。Eclipseに見られるIBMの取り組みを見てみよう。

[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 カリフォルニア州サンタクララ発--IBMは米国時間3月21日、「Eclipse」を主な開発環境として利用している開発者に向けたサポートサービスを開始すると発表した。

 IBMの関係者によると、同パイロットプログラムは、オープンソースのEclipseと、「IBM Rational」ソフトウェアなどの商用Eclipseをベースとするツールの両方を開発に使用したいと考える顧客を対象にしたサービスだという。IBMのサービスおよびサポートチームが、これらのソフトウェアを組み合わせた開発環境で作業に当たる開発者および管理者を支援していくことになる。今回の発表は、現地で開催された「EclipseCon 2006」カンファレンスで行われた。

 IBMは2001年に、Eclipse技術に4000万ドルの資金を投資し、これをオープンソースプロジェクトとして立ち上げた。Eclipseは、EclipseConがはじめて開催された2004年2月に一つのプロジェクトとして独立しており、エグゼクティブディレクターにはマイク・ミリンコビッチ氏が就任した。

 今回IBMは、このEclipseプロジェクトにこれまで以上の力を注いでいくことを決定している。例えば、IBMはZend Technologiesとともに、「Eclipse Tools」プロジェクトが管轄するPHP統合開発環境(IDE)サブプロジェクトにコードを提供して、PHPへの取り組みを強化している。両社はすでに、高い拡張性を備える「PHP Development Environment」フレームワークも開発している。

 IBMでEclipse戦略マネージャーを務めるジョン・ケラーマン氏は、「オープンソースとの強固な関係を維持し、イノベーションの促進を図って、コミュニティーの発展を目指すことで、IBMのオープンソースに対する投資戦略は、成長に建設的な影響を与え、将来的な利益を生み出すことを可能にする素地を作り上げてきた」と、声明の中で述べている。

 「われわれは、世界に通用するすぐれたプログラマーと技術を、新旧のオープンソースプロジェクトに提供している。こうした貢献によってIBMの顧客のニーズを満たし、オープンソース開発コミュニティーを活性化することが当社の目的だ。現在は、100件以上のオープンソースプロジェクトに参加している」(ケラーマン氏)

 IBMはまた、開発者がみずからのアプリケーションに「WSDM(Web Services Distributed Management)」「ARM(Application Response Measurement)」「JMX(Java Management Extensions)」などの運用管理標準を適用するのを支援するため、3種のツールキットを「Eclipse Test」および「Performance Tools Platform」プロジェクトに提供するという。

 一方のEclipse Foundationは、IBMが先ごろ「AJAX Toolkit Framework」を提供したことを高く評価している。同フレームワークを利用すると、開発者はAJAX(Asynchronous JavaScript and XML)アプリケーションの開発および効率的なデバッグを行えるようになる。なお、この取り組みは、Innoopractが立案した「RAP(Rich AJAX Platform)」プロジェクトを補完するものだ。

 IBMは、「STP(SOA Tools Project)」のサブプロジェクトを構築する際の中核的なモデルおよびフレームワークを作製する、「Core Framework for STP(SOA Tools Project)」にもかかわっている。STPの中核的なフレームワークは、「SCA(Service Component Architecture)」の技術を利用している。SCAは、SOAソリューション向けのツールやランタイムを提供する、多数の業界大手ベンダーがサポートしている新しい標準規格だ。

 STPのモデルおよびフレームワークは、「Rational Application Developer」や「Rational System Architect」などのRational設計/構築ツールを開発する際の基礎となると、IBMの関係者は説明した。

 IBMはBorland Softwareとも協力して、モデリング関連技術の開発を行う、Eclipseの上位プロジェクト「Eclipse Modeling Project」を提案している。このプロジェクトが実現されれば、Eclipseにおけるモデリングがさらなる進化を遂げるばかりでなく、開発コミュニティー内での普及も進むだろう。IBMによれば、「Rational Software Modeler」などに搭載される商用モデリング機能をRationalが構築する際に、同モデリングプロジェクトの技術を土台とすることになるという。

 このほかIBMが参加しているプロジェクトには、「Eclipse Project Higgins」と称されるオープンソースID管理プロジェクトがある(関連記事参照)。これは、各ユーザーが、医療記録に含まれる銀行口座番号などの個人的なオンライン情報をより適切に管理できるようにするためのプロジェクトだ。

 さらにIBMは、「Eclipse Voice Tools」プロジェクトに新たなAPIを提供したことを先ごろ発表した。Web開発者が、一般的なブラウザツールを用いて新しい音声アプリケーションを開発/検証/実行できるようにし、電話/携帯デバイス/車/Webにおける「VoiceXML」アプリケーションの採用を加速するのがその目的だという。

 「2006 IBM Eclipse Innovation Award」プログラムや、国際的な報奨金授与制度に関する取り組みも始まっている。こうした制度は、教育課程や研究用のオープンソースおよびオープンスタンダードベースのツールの利用を促進するために設けられており、報奨金は1万〜3万ドルとなっている。詳細情報の参照および報奨金の申請は、こちらから。

 IBMは、エンタープライズ向けデータモデリングおよびインテグレーション設計ツール「Rational Data Architect」や、現在はβ版が提供されているXML電子フォームツール「Workplace Forms Designer 2.6」といった、新たなEclipseベースツールもリリースしている。同社はまた、Eclipseにプラグインして利用できる、インスタントヘルプの新しいインタフェースも公開した。

 ミリンコビッチ氏の声明には、「IBMは、Eclipseをオープンソースプラットフォームの最右翼として確立する取り組みの中心となってきた。IBMによる継続的な関与と貢献は、われわれのコミュニティーの成長にとって重要な意味を持っている」と記されていた。

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