MS、「ゲイツ氏移行後」の準備は万全か?(2/2 ページ)

» 2006年06月19日 14時55分 公開
[Peter Galli and Mary Jo Foley,eWEEK]
eWEEK
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 Burton Groupのアナリスト、ピーター・オーケリー氏も、ゲイツ後の戦略に大きな変化はないという見方をしている。

 「短期的な戦略には大きな変更はないだろう。ある意味では、レイ・オジー氏とクレイグ・マンディ氏は、彼らの従来の役割の範囲を単に拡大するだけであるため、混乱につながるような組織的変化はないと思う」とオーケリー氏は話す。

 オーケリー氏によると、新リーダーとなる両氏はともに、それぞれに与えられた役割に適任であり、MicrosoftがGroove Networksの買収を完了して以来、このことが予定されていたとしても不思議ではないという。

 Citigroup Investment Researchが6月15日夜に公表した調査メモによると、2年間という移行期間があるため、同社は今回の動きがもたらす影響について懸念していないという。「ゲイツ氏は、これまでの組織再編ならびにオジー氏の雇用を通じて、組織面での準備を進めてきたとわれわれは考えている」と同社は記している。

 「最近の製品出荷の遅れや、株価の下落という状況を見れば、ゲイツ氏のような思想的リーダーを失うことは短期的に士気の低下を招くかもしれないが、その一方で、新世代のリーダーたちが同氏の陰から姿を現し、広告やゲームなどの新しいビジネスモデルを発展させ、Windows Liveのソフトウェアサービス構想を開発するチャンスを与えるだろう」(同メモ)

 マンディ氏も全く同じ見方をしており、「ゲイツ氏は6月15日の発表の中で、自身の偶像的地位とマスコミ報道のため、同社の技術開発と業務執行における自身の役割が過度に強調されるきらいにあると指摘した」とeWEEKに語っている。

 「移行の成功例はすでに存在する。ビルからスティーブ・バルマー氏にCEOの地位が移って6年以上になるのだ。スティーブのリーダーシップの下、現在の多岐にわたる事業への対応ならびに絶対的な規模拡大に向けて組織的な変革を進めてきた」とマンディ氏は話す。

 この動き自体が、同社において新たなレベルのリーダーシップを生み出すとともに、スティーブ・シノフスキー氏(Windows/Windows Live技術担当上級副社長)、ボブ・マグリア氏(サーバ/ツールビジネス担当上級副社長)、ジェイ・アラード氏(コーポレート副社長兼チーフXNAアーキテクト)といった強力な技術リーダーの登場を促した。マンディ氏によると、XNAは、ゲーム開発者/パブリッシャーが抱える問題を解決するためにMicrosoftが提供する予定のツール/技術群である。

 「ビルが昔にやっていた業務の一部を、これらの部門がより直接的な形で担当するようになったのだ」とマンディ氏は説明する。

 しかしGoldman Sachsのアナリスト、リック・シャーランド氏のように、ゲイツ氏が向こう2年間でMicrosoftの日々の業務から離れることについて否定的な見方をする人もいる。とはいえ同氏は、2年間にわたる移行は整然としたものになると予想している。

 Microsoftと激しい競争を演じているライバル企業や、Salesforce.comのマーク・ベニオフ会長兼CEOのように同社に対して非常に批判的な人々でさえも、Microsoftの将来について否定的な予測を述べるのを控え、ゲイツ氏が業界で果たした役割を称賛している。

 「ビル・ゲイツ氏のような、技術とビジネスの両面に秀でた博愛主義的リーダーがいたことは、業界にとって幸運だった。彼はわれわれの世代のトーマス・ワトソン(訳注:IBMを世界的企業に発展させた人物)だ」(ベニオフ氏)

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