MS、「ゲイツ氏移行後」の準備は万全か?(1/2 ページ)

Microsoft創業者のビル・ゲイツ氏が慈善団体の運営に自身のフォーカスをシフトした後で、Microsoftのビジネス手法が大きく変化するかどうか、関係者の間で意見が分かれている。

» 2006年06月19日 14時55分 公開
[Peter Galli and Mary Jo Foley,eWEEK]
eWEEK

News Analysis:Microsoft創業者のビル・ゲイツ氏が慈善団体、Bill and Melinda Gates Foundationの運営に自身のフォーカスをシフトした後で、Microsoftのビジネス手法が大きく変化するかどうかについて、関係者の間で意見が分かれている。

 ビル・ゲイツ氏がBill and Melinda Gates Foundationの運営に自身の時間の大半を費やし、レドモンドのソフトウェアメーカーで仕事をする時間を大幅に減らすという形に移行するのに伴い、Microsoftの対外的および社内的なビジネス手法が大きく変わるのだろうか。

 誰もがこの疑問を口にしているものの、Microsoft幹部や財務アナリスト、研究者、業界観測筋の間で一致した見解はなく、ほとんど変化はないだろうとする予想から、巨大かつ重要な変化があるだろうというものまで、見方が大きく分かれている。

 Microsoftの会長兼チーフソフトウェアアーキテクトのビル・ゲイツ氏は2008年に、同氏が31年前に創業した同社の経営を退き、慈善事業に専念すると表明した。同氏は6月15日、会長職には今後もとどまるとし、「自分がMicrosoftの会長でなくなることは考えられない」と語った。

 ゲイツ氏が日々の業務から引退するのに伴い、レイ・オジー現CTO(最高技術責任者)とクレイグ・マンディ元CTOが経営の舵取りをすることになる。オジー氏はチーフソフトウェアアーキテクトの肩書きを引き継ぎ、マンディ氏は最高研究・戦略責任者に就任する。

 マンディ氏は、eWEEKが6月15日に行ったインタビューで「Microsoftの今後のビジネス、特に製品開発の分野では大きな変化はないだろう」と語った。

 「当社では豊かな企業文化が確立されている。31年間にわたって当社を率いてきたビルは、消すことのできない足跡を当社に残した。多くの人々が当社の中で“成長”した。今後も基本的に、われわれスタッフの成長を支えてきた手法を踏襲する。今回の移行に伴う急激な変化はないだろう」(マンディ氏)

 マンディ氏によると、自分とオジー氏はゲイツ氏のパーソナリティと異なるが、この5〜6年間、Microsoftが成長・成熟する中で3者は経営に関する議論を重ねてきたという。

 「このため、各製品グループの開発方針に関しては大きな混乱はないと思う」と同氏は話す。

 オジー氏は2005年4月、MicrosoftがGroove Networksを買収した際にMicrosoftに入社した。オジー氏はGroove Networksの創業者であり、その前には、Iris Associatesの創業者兼社長としてLotus Notesの発明と初期段階の開発を手掛けた。

 オジー氏とマンディ氏との間の責任分担に関しては、オジー氏が製品開発および製品化を主に担当することになる。これは、6月15日のゲイツ氏の引退発表の直後に行われた電話取材の中でオジー氏が明らかにしたもの。

 「インキュベーションと最先端の開発がわたしの基本的な任務だ。当社が出荷する製品や市場に投入する製品がわたしの担当分野になる」とオジー氏は語った。

 オジー氏によると、チーフソフトウェアアーキテクトという同氏の新たな肩書き(6月15日付で就任)での最優先課題となるのがWindows Liveだという。「わたしが6カ月前にサービス戦略を打ち出した最大の理由は、サービスがMicrosoftの変革を促す最大の触媒になると考えたからだ。今後、ありとあらゆるMicrosoft製品にサービスが関連付けられるようになる」と同氏は話す。

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