企業データの35%超が「AI生成物」 調査が警告する、データ品質低下と統制不足のリスクIT調査ピックアップ

AvePointの調査によると、企業データの35%超をAI生成データが占めるなど活用が急拡大する一方、品質低下や統制不足によるリスクが顕在化。情報保護への懸念などから、多くの企業がAI導入を平均約6カ月延期している。

» 2026年07月02日 07時00分 公開
[ITmedia]

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 グローバルIT企業のAvePointは2026年6月29日(現地時間)、企業のAI活用実態をまとめた年次調査「State of AI 2026: Scaling Trust, Control, and Readiness in the Agentic Era」を公表した。

 米Osterman Researchと共同で実施された本調査(世界750人のIT担当者が対象)によると、企業データに占める「AI生成データ」の割合が35%を超えるなどAI活用が急拡大する一方、データの品質低下や統制(ガバナンス)不足によるリスクが顕在化。利用実態の把握不足やデータ管理上の懸念から、多くの企業で導入遅延などの課題が生じているという。

AI導入拡大と統制課題、企業調査で判明

 調査では未承認の生成AI利用を把握できない企業は2025年の6.3%から2026年は17.6%へ増加した。AIエージェントでは21.1%に達し、利用実態を把握できない割合は生成AIより高い。

 従業員によるAIエージェント利用は急速に広がり、46.9%が毎日または毎週利用している。また、AIエージェントを組み込む業務工程は今後1年間で約2倍になる見通しとなった。調査対象となった企業では、現在人間が担っている業務のうち、AIエージェントに置き換わる割合が平均で1年後に26.7%、5年後に49.7%へ広がると見込んでいる。導入目的は、人員削減よりも手作業削減、処理時間短縮、人材を高付加価値業務へ振り分ける効果を重く見ている。AI利用費用と成果を管理するAI FinOpsへの関心も高まった。

 利用が拡大する一方、管理体制は十分には整っていない。AIエージェントへの懸念は「誤判断」や「不適切な処理によるデータ損傷」が首位となり、人の確認手順を回避する動作も上位に入った。サイバー防御分野は有力な用途と評価されたものの、情報保護や統制基盤が不足した状態では危険性も高い分野と位置付けられた。

 企業の自己評価と実態にも隔たりがあった。回答企業の82.7%は不正なデータアクセスの防止に強い自信を示したが、「非常に自信がある」と答えた企業の72%、「極めて自信がある」と答えた企業でも62%が過去1年間にAI関連の不正アクセスを経験した。生成AI関連のセキュリティ事故は、2025年の75.1%から2026年は89.5%へ増えた。AIエージェントでも88.4%が過去1年間に少なくとも1件の事故を経験した。調査は、統制体制全体に課題が残る状況を示した。

 導入計画にも影響が出た。生成AIは86.9%、AIエージェントは86%の企業が、情報保護やデータ管理上の懸念から導入開始を平均約6カ月延期した。調査では「AI利用の拡大にはデータを管理し制御する基盤整備が不可欠」と指摘された。

 企業データの構成も変化した。AIが生成したデータは企業全体の35.5%を占め、1年以内には42.1%へ増える見通しとなった。84.1%の企業は1PB以上のデータを管理し、78.1%は「保有データの半数以上が5年以上前に作成された内容」と回答した。AI生成データが増え、重複や古い内容、品質の低い情報までAIが利用対象に含める状況では統制不足による影響が拡大しやすいと分析した。

 今後の投資においては、AI学習用データ保護が79.5%で首位となった。AIエージェントの動作を監視し、社内方針との適合性を確認する外部統制ツールも投資対象として上位に入った。AvePointは、こうした外部統制ツールを、Gartnerが「AI Agent Management Platform」(AMP)と呼ぶ新領域の中核機能に当たると説明している。

 また、過去1年間にAIエージェントの安全対策を実施した企業は95.5%となった。安全対策を実施していない企業は、2025年の8.3%から2026年には2.5%へ減少した。

 調査では「生成AIとAIエージェントの双方で情報保護とプライバシーが共通課題になっている」と結論付けられた。AI性能そのものではなく、利用状況を把握し、データを管理し、運用を監査可能な状態へ保つ基盤整備が企業のAI活用成果を左右すると総括した。

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