コニカミノルタのソニーへのカメラ事業の売却のように製造業の勝ち残り競争がますます激化している。製造業を中心に業務改革やシステム導入のコンサルテーションを行なっている立場からPLMの最新状況についてお伝えする。
北澤英人(ベリングポイント シニアマネジャー)
製造業の勝ち残り競争がますます激化している。コニカミノルタのソニーへのカメラ事業の売却のように、製品事業単位でのM&Aも活発になっている。携帯電話の新製品競争に見られるように、消費者のニーズは多様化し、そのライフサイクルはメーカーにとっては過酷なまでに短くなっている。
わたしは約10年前まで、国内の大手精密機械メーカーで商品開発、機械設計に携わっていた。製造業を取り巻く事業環境は当時より格段に厳しくなっている。しかしその中でも確実に利益を上げている、いわゆる勝ち組といわれる企業は、製品開発の上流工程からの業務改革に、大胆に、積極的に取り組んでいる。
PLMとは製造業を取り巻く厳しい事業環境に対して、営業、設計、購買、生産、サービス、協力会社といった社内、社外のすべての部門が協業できる業務環境を、インターネット技術を利用して構築することによって、製品ライフサイクルに関するすべての価値を向上させるアプローチである。
PLMのゴールとしては、一般的には以下のように定義される。
またPLMを支える情報技術としては一般的には以下のようなアプリケーションが挙げられる。
かつては設計開発部門にPDMを導入して、CADデータやドキュメント管理を一元管理して、設計開発部門の業務効率化やナレッジ有効活用をテーマにするプロジェクトが主流であった。しかし最近では企業の事業戦略、製品戦略そのものを実現する手段として、PLMを切り口に業務改革に取り組む企業が増えている。
そのため、PLMのアプローチは、当然ながら全社の基幹業務を巻き込んだものになる。また、それぞれの業種によって異なったものになる。最近特にPLMへの取り組みが積極的な家電業界、自動車部品業界、設備機械業界を例にして、各業種における戦略の方向性と、具現化のためのPLM適用ポイントを紹介する。
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