IPアドレス(IPv4)編 その1恥をかかないための ネットワーク・スキルアップ講座(2/2 ページ)

» 2006年08月08日 11時30分 公開
[谷本功,ITmedia]
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解答

「3台」が正解。
 そもそもサブネットマスクとは、IPアドレスのネットワーク部とホスト部との境界

線を示すものである。サブネットマスクが255.255.255.240というのは、これを2進数に直すと

11111111 11111111 11111111 11110000

という意味である。つまり、IPアドレスの先頭28ビット分がネットワークアドレス、残りの4ビットがホストアドレスという意味になる。同一ネットワーク上にあるホストは、すべて同じ番号のネットワーク部を持たなければならない。

 さて、サーバのIP アドレスが192.168.1.1ということは、これを2進数に直すと

11000000 10101000 00000001 00000001

となる。このうち

11000000 10101000 00000001 0000

までがネットワーク番号(ネットワーク部)で、残り

0001

がホスト番号(ホスト部)である。

 では、各クライアントのIPアドレスを、それぞれ2進数に直してみよう。

A:11000000 10101000 00000001 00001010

B:11000000 10101000 00000001 00010100

C:11000000 10101000 00000001 00011110

D:11000000 10101000 00000001 00101000

 このうち、サーバのネットワーク番号「11000000 10101000 00000001 0000」と等しいのはA だけで、残りの3台はサーバとネットワーク番号が異なる。従って、サーバとは通信できない。


「『arp -d』コマンドを用いて、ARPキャッシュをクリアする、またはOSを再起動する」が正解。
本来各ノードを一意に識別するのに用いるアドレスは、LANカードに設定されたMACアドレスである。

 MACアドレスは48ビットの数値で、通常は機器に直接設定されており、変更することはできない。一方、TCP/IPの世界で各ホストを一意に識別するのに用いるのはIPアドレスである。

 TCP/IPの世界ではARPというプロトコルを用いて、このIPアドレスとMACアドレスとの名前解決を行っている。ネットワークへの負荷を削減するため、ARPは一度名前解決したIPアドレスとMACアドレスとの関係を、ARPキャッシュと呼ばれる領域にキャッシュしている。

 午前中から使用しているコンピュータには、元のサーバAのMACアドレスがキャッシュされていることが考えられる。このキャッシュをクリアするのが、コマンドプロンプトから入力できる「arp-d」というコマンドである。またコンピュータを再起動しても、ARPキャッシュはクリアされるので、新しいサーバAのMACアドレスを再度解決することになり、通信が可能になる。

 長時間放置しておいてもキャッシュはクリアされるが、現実的ではない。


「arp -s 192.168.1.1 00-28-2b-40-94-36」が正解。
 arp -s コマンドを使うと、そのPC内のARPキャッシュを静的に割り当てることができる。

つまりそのPCに限って、「192.168.1.1というIPアドレスへの接続が必要であれば、00:28:2b:40:94:36というMACアドレスの機器に繋ぎなさい」という指定ができるわけである。一部のネットワーク機器は、直接IPアドレスを割り当てなくてもこの方法で接続できるものがある。そのPCに限って、192.168.1.1というIPアドレスでこのネットワーク機器に接続することができるのである。ただし、自身に設定されていないIPアドレスのパケットを破棄するネットワーク機器もあるので、この方法で必ず通信できるわけではない。

注意しなければならないのは、このコマンドを用いて該当するネットワーク機器に直接IPアドレスを割り当てているのではない、という点である。「192.168.1.1というIPアドレスは、00:28:2b:40:94:36のMACアドレスを持った機器のことなんだな」という認識をしているのは、あくまでもこのarpコマンドを入力したPCだけである。 従って、この作業を行ってWebブラウザからネットワーク機器の設定画面に到達できたら、すみやかに該当ネットワーク機器にIPアドレスを割り当てなければならない。


「DHCPサーバが正常かどうかを調べる」が正解。
 ipconfig コマンドは、Windows 2000 やWindows XPなどにおいて、現在設定されているIP アドレスを調べるコマンドである。

 Windows 2000 やWindows XP(他にWindows 98/Me、MacOS 9以降など)は、DHCP サーバからIPアドレスが取得できない場合に、自分自身に自動的に169.254.x.xのIPアドレスを割り当てる。これをAPIPA(Auto Private IP Addressing)と言う。すなわち、現在設定されているIPアドレスが169.254.x.xであれば、DHCPサーバからIPアドレスが取得できていない状態であることがわかる。

 問題文には「先日までちゃんとサーバに接続できていた」と記述されているので、それまではアクセスできていたことになる。ネットワーク設定は変更していないのだから、169.254.x.xというIPアドレスが最初から設定されていると考えるのは困難だし、DHCPサーバの設定そのものに問題があると考えるのも無理がある。


「そのPC 自身」が正解。
 127.0.0.1というIPアドレスは「ローカル・ループバック・アドレス」と呼ばれる特殊なもので、どのホストにとっても、必ず自分自身を示す。

 ある種類のセキュリティソフトには、そのセキュリティソフトがメールソフトの代わりにメールを受信して中身を吟味し、悪意のあるメールを削除する。そしてメールソフトに対しては、そのセキュリティソフトがメールサーバであるかのように振る舞う。セキュリティソフトはそのPC自身にインストールされているため、自分自身を表す127.0.0.1をメールソフトに設定するように記述されているのである。

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