特集
» 2006年09月08日 08時00分 公開

「ものづくり大国日本」を維持するための組み込みソフトウェア開発の技法(2)(1/2 ページ)

前回は日本の製造業を下支えする組み込みソフトウェアの開発を取り巻く現状について、開発プロセス改善が必要であることと、その背景について紹介した。今回は、その取り組み方について解説していく。

[姜光明,ITmedia]

本記事の関連コンテンツは、オンライン・ムック商品企画の最前線でご覧になれます。


姜光明(アビーム コンサルティング TI事業部)

 前回は、日本の製造業を下支えする組み込みソフトウェアの開発を取り巻く現状について、開発プロセス改善が必要であることと、その背景について紹介した。今回は、その取り組み方について解説していく。

組み込みソフトウェア開発のプロセス改善への取り組み方

 各種製品に組み込まれたソフトウェアを納品するまでには、製品企画、開発(基本設計、詳細設計、製造:ハードウェアならびにソフトウェア単位)、テスト(単体テスト、結合テスト、システムテスト)、品質管理、保守などのさまざまな工程を経る。

 組み込みソフトウェア開発のプロセス改善とは、対象となるソフトウェア開発に関するプロセスにかかわるあらゆる諸問題を明確にし、より良い状態へと改善していくことである。具体的な例として、とある会社の携帯端末機器の新製品開発をめぐって、関連する3部門(プロジェクト管理、ソフトウェア開発、品質管理)の間で、次のような課題が掲げられ、解決に向けての対応施策が練りだされた。

 ここで、課題例を3つほど紹介してみる。

課題例(1)慢性的なプロジェクト遅延

 プロジェクト管理部門では、慢性的にプロジェクト遅延が発生し、予定の納期に間に合わない。

  • 対応施策

 プロジェクト管理部門は、見積り技術およびプロジェクトマネジメントの方法が主な原因であることを調査により明確化し、組み込みソフトウェアマネジメントに特化した管理支援ツールを導入する。そして、プロジェクト実施期間をより適切に算出するとともに、プロジェクトマネジメントならびにソフトウェア開発経験者の高いスキルの人材を配置し、プロジェクトの進捗状況を適切に把握、管理することにより、納期遵守の確保を図った。

課題例(2)作業の手戻りによるコスト

 ソフトウェア開発部門では、作業の手戻りが頻繁に発生し、予定よりも多額のコストが発生している。

  • 対応施策

 開発部門は、プロジェクト初期における要件定義の方法が、この問題の主な原因であることを調査により明確化する必要がある。次期商品開発を対応する企画部門の社員も含めて、要件定義の技術を教育し、また、高いスキルを持つ社員がプロジェクトの初期段階で定義された顧客の要件を厳しくチェックし、要件をビジュアル化することで、要件の漏れや理解不足、取りこぼしなどを減らし、品質改善を図った。

課題例(3)

 品質管理部門では、十分な製品品質を提供できずに顧客からのクレームが絶えない。

  • 対応施策

 品質管理部門は、ソフトウェア品質の向上に関連する品質基準値を明確にし、品質を劣化させる工程を明確にするために、各品質管理プロセスを定義(品質保証プロセス、検証プロセス、妥当性確認、共同レビュープロセス、監査プロセス)し、品質が確保できない原因を特定できるようにした。

組み込みソフトウェアプロセス改善に向けた基盤構造

 例として掲げた3つの課題は、どれも製品価値の低下や企業イメージのマイナスに直接的なインパクトを与えかねない大きな課題である。

 組み込みソフトウェアの開発プロセスの改善は、個別の課題を解決するといったものではない。製品ライフサイクル全体のプロセスの中で、組み込みソフトウェアの開発プロセスをどのような形態で組み立てるかという課題に対して実施されるものである。企業や製品販売戦略といった目的に対して、ソフトウェア開発部門がいかに積極的に貢献すべきかを議論しなくてはならない。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ