どっちを選ぶのが賢い? ウイルス対策ソフトとスパイウェア対策ソフト狙われる企業、スパイウェア対策事情(3/3 ページ)

» 2006年09月11日 08時00分 公開
[野々下幸治,ITmedia]
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 これだけを理由に、3社のヒューリスティック技術が低いとは言えないかもしれないが、ウイルス対策ソフトの御三家、トレンドマイクロ、マカフィー、シマンテックの3社においては、その検知率は3分の1に落ちる。その一方で、ほかの小規模ベンダーと比較すると、この3社の誤検知率は低いという結果を出している。

 一般的には、ヒューリスティックを強化すると誤検知の可能性も高くなるため、シェアの大きなベンダーの誤検知は少なくなる。誤検知が起こると、システムが動かなくなってしまうといったクリティカルな問題が出るので、影響力の大きなベンダーほど、積極的なヒューリスティックより、誤検知を少なくすることを重要視する傾向があるようだ。

 また、最近開催されたAusCERT2006の別の報告では、98%の企業がウイルス対策ソフトを導入しているが、その45%が昨年1年間にウイルスの感染を経験している、と報告されている。セキュリティ専門家のブルース・シュナイアー氏は、8割のウイルスがトップシェアのウイルス対策ソフトでは検知できない、という報告をしている。これはマルウェアの作者がウイルスを配布する前に、あらかじめウイルス対策ソフトに検知されるかをチェックした上で配布するためであるという。

 ウイルスやスパイウェアを含めたマルウェア対策を行うには、既に1社のエンジンのみに頼ることができない状況になっている。だが、ウイルス対策ソフトの場合は、HDDのオンデマンドアクセスを行うため、基本的に1台のPCに複数製品を導入することができない。今日のマルウェアの多くがスパイウェアであることを考えると、ウイルス対策ソフトと同居できるスパイウェア対策ソフトを同時に導入することが、非常に有効だろう。


 ここ数年は、ウイルスによる脅威よりもスパイウェアによる脅威が勝っている。そのような状況では、スパイウェアの脅威を正しくとらえ、そのリスクを軽減できる対策を考える必要がある。

 次回は、企業が行える具体的な対策として、スパイウェア対策ソフトの選択のポイントを中心に検討してみたい。

野々下幸治

ウェブルート・ソフトウェア テクニカルサポートディレクター。1990年代半ばよりDECでファイアウォールに深くかかわる。2001年Axentに入社、2001年Symantecに買収され、システムエンジニアリング本部長を務める。2006年ウェブルート・ソフトウェアに入社し、現職。


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