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» 2006年11月27日 08時00分 公開

システムマネジメント最前線:IT/IS部門のアウトソーシングは最適な選択肢か? (1/2)

ITベンダーを除くほとんどの業種の企業にとって、IT/IS部門はいわゆる“本業”ではない。そのためにIT/IS部門のアウトソーシングは、多くの企業にとって魅力のある選択肢になっている。だが、何をアウトソーシングすべきかは、企業が見極めて判断する必要がある。

[敦賀松太郎,ITmedia]

このコンテンツは、オンライン・ムック「システムマネジメント最前線」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。


効果の裏に潜む懸念

 企業には自社が本業とする業種があり、IT/IS部門は当然のことながら本業ではない。そのために、経費削減や生産性の向上を目指した業務改革を行うとき、真っ先にメスが入るのが、IT/IS部門である。また、差し迫った業務改革の必要がなくても、IT/IS部門の見直しによって浮かせた投資を、本業に集中したり、新規事業に回したりできるようになる。

 とはいえ、IT/IS部門を企業からなくすことはできない。IT/IS部門は今や、あらゆる業務を支えるために、なくてはならない存在だからだ。そうしたIT/IS部門の見直し策として有効なのが、アウトソーシングである。

 ただし、IT/IS部門のすべてを闇雲にアウトソーシングして良いわけではない。確かに、IT/IS部門のアウトソーシングには、人件費や設備費などのコスト削減、専門家に任せることによる品質向上などの効果が期待できる。しかし、IT/IS部門が本業を支える重要な役目を担っていることを忘れてはいけない。コスト削減の名目でアウトソーシングを進めた結果、業務ノウハウが失われてしまったという例も少なくない。

 例えば、ある企業ではIT/IS部門だけでなく、総務会計部門の多くをアウトソーシングし、わずかに残した社内部署でも派遣社員やパートタイマーに担当させていた。ところが、日本版SOX法に対応した受発注システムを再構築しようとした際、受発注業務の内容を正確に理解している正社員は、業務部門にもIT/IS部門にも存在しないという事実が発覚したのだ。そのため、これまで業務プロセスもワークフローも改善されず旧態依然としたまま使われ続け、それも正社員不在の中、派遣社員やパートタイマーの“伝承”によって受け継がれてきた。

 幸い、会計部門のシステムはパッケージングしやすく、業務改革も行いやすいため、大きな問題に発展しなかった。しかし、アウトソーシングを高度に推進したために、業務ノウハウが喪失したのは、紛れもない事実である。これが本業を支えているIT/IS部門に起きてしまったら、と想像してみてほしい。

アウトソーシングの手順

 こうした業務ノウハウの喪失を避けるため、IT/IS部門をアウトソーシングする際は、何をアウトソーシングするかを十分に考えなければならない。最低でも、アウトソーシングしようと考えているシステムが関連する業務プロセスを洗い出し、アウトソーシングの功罪をよく検討して、実際にアウトソーシングするシステムを抽出しなければならない。

 この後でアウトソーシングを依頼するサービス事業者(アウトソーサー)を選定するわけだが、この仕事が最も重要になる。アウトソーサーの選び方を間違えると、ハードウェアやソフトウェアのアーキテクチャが固定され、データの互換性や相互接続性に課題があり、保守が難しいシステムを構築されてしまう危険性がある。こうしたアウトソーサーを選んだ場合、ビジネスの変化に対応して業務プロセスを見直そうとしても、システムを柔軟に改変することができず、莫大な再投資が必要になる場合も考えられる。

 ただし、アウトソーサーの技術力やアーキテクチャに偏りがあったとしても、社内の業務部門とIT/IS部門の双方に専門的知識を身に付けた人材を確保しておくことで、問題を回避することができる。突発的な経費の発生や急激な品質の低下を避けるには、アウトソーシングに最適な業務を見極めるのと同時に、IT/IS部門の強化にも着手する必要がある。

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