バルマー氏、「Vistaは新たな技術革新の波を起こす」(1/2 ページ)

バルマー氏はVistaの提供開始会見で、「Vistaには搭載できなかったが、今でも開発を続けているもの」が山のように残っていると答えている。

» 2006年12月05日 17時47分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 ニューヨーク発――11月30日、Microsoftの最高経営責任者(CEO)であるスティーブ・バルマー氏が、企業に対する「Windows Vista」「Office 2007」「Exchange 2007」のリリースは、同社の歴史上最も意味のある基幹製品発表であると語った。

 ニューヨークにあるナスダック証券取引所で、ボリュームライセンスユーザーに対する同3製品の出荷および提供を公式発表するために開かれた記者会見において、バルマー氏はWindows Vistaを一連の技術革新の先触れとなるものと評した。

 一連の技術革新には、「SharePoint Server 2007」や「Exchange Server 2007」などの新製品が含まれている。また、VistaとOffice 2007のエンタープライズバージョンは、ExchangeおよびSharePointと連係するエンタープライズサービスを実現できるといった新たな特徴を備えていると、バルマー氏は述べた。

 「われわれはほかにも複数のアプリケーションを市場に投入しようとしており、Office 2007およびVistaの中核的な新要素によってそれらの利用範囲も拡大しつつある。今回の新製品リリースが一段落したら、30種類ほどの新製品を徐々に発表していこうと考えている」(バルマー氏)

 Microsoftは、「Unified Messaging Services for Exchange」「Exchange Hosted Services」「Forefront Security for Exchange」「Forefront Security for SharePoint」などのリリースを予定している。

 さらに、「Office Communicator 2007」「Office Communications Server 2007」「Voice Call Management for Office Communications Server 2007」「Office Performance Point Sever 2007」や、Office 2007用のデータマイニングアドイン、「Windows Desktop Optimization Pack」「Forefront Client Security」「System Center Configuration Manager」および同クライアント、「System Center Operations Manager」および同クライアントが、いずれ発表される見込みである。

 バルマー氏は、「ようやくここまで来られたことをうれしく思っている。過去を振り返ってみると、ただもうこれしか言うべき言葉は見つからない」と話し、Vistaのリリースまでに5年もの歳月がかかってしまったことに触れた。

 ワシントン州レドモンドに本拠を置くMicrosoftは、今後はWindows内で実施可能なサービスの拡充に力を入れる意向だ。「われわれにとって、これは非常に大きなテーマである。近い将来には、より多くのサービスが実現されるようになると期待していてもらいたい」(バルマー氏)

 Microsoftは、Vista開発の初段階で種々の技術の搭載を断念したように、新たなテクノロジーを製品に実装するにはある程度の熟成期間が必要であることを学んだという。まず初めに新技術を市場に浸透させ、それから製品に統合するのがよいと、バルマー氏は述べた。

 Vistaのサービスパックを提供する時期について質問を受けたバルマー氏は、Vistaは歴代Windowsの中でも最も高品質で、安全性および信頼性に優れているため、サービスパックは必要にならないかもしれないと冗談交じりに話している。

 付け加えると、Microsoftでは引き続き顧客からのフィードバックを収集して、サービスパックのリリース計画を詰めていく予定だという。

 11月30日に提供が開始された新製品は、どれも広い意味で新境地を切り開くものとなったが、そもそもそうした進歩が実現できたのは、開発プロセスの初期に、現在のビジネス界はどのような状況にあるのか、最も重視されているニーズは何なのかという世界観をMicrosoftが持つようになったからだと、バルマー氏は説明した。

 「ITニーズが企業という枠や国境を越えるようになった一方で、それを取り巻く世界は常に変化し、組織の透明化および分散化がかつてないほど進んでいると気づいたことが、(こうした戦略を採る)きっかけになった。われわれは、多くの人々が情報の氾濫に頭を悩ませていると認識している」(バルマー氏)

 人々は自らに関する情報や生活をコントロールすることを望んでいると、バルマー氏は言う。こうした認識が、人間を最高の「資産」と考えるMicrosoftの「People Ready Business」の基礎にあるという。

 こうした背景から、WindowsおよびOfficeのあらゆるバージョンでは、ユーザーの生産性とエクスペリエンスを向上させることが使命となっている。「両製品の新版は、劇的な進化を遂げた個人向けの生産性ツールだと言える」(バルマー氏)

 今回は「Windows Mobile」のアップグレードは行われなかったが、バルマー氏いわく同製品は、Microsoft製品スイートにおける顧客エクスペリエンスの重要な部分を担っている。

 Windows Mobileのアップグレードは1年に1度、同ソフトウェアと関連ハードウェアの認証プロセスに従ったタイミングで行われており、Microsoftはすでに新版を完成させているが、市場に流通するまでにはまだ多少時間が掛かるということだ。

 以前は、自社のユーザーがOfficeの機能をフル活用できていないと不満の声を上げる顧客企業も少なからず見受けられたが、Office 2007の新しいインタフェースと「リボン」がそうした懸念を払拭するはずだと、バルマー氏は主張している。早くから同製品を利用し始めた顧客は、新たなユーザーインタフェースによって一連の機能を完全に使いこなせるようになったと述べているという。

 将来的には、Office 2007の検索およびリボン機能を実装するサービスやアプリケーションを提供する企業が増え、さまざまな場面で同様のエクスペリエンスが得られるようになるだろうと、同氏は話した。

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