MSのExpression Blendに“Flashキラー”のウワサ

米eWEEKラボで「Expression Blend」を試したところ、デザイン志向のスタッフにとって興味深い選択肢であるとの印象を得た。

» 2006年12月05日 18時19分 公開
[Jim Rapoza,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftは12月4日、「Expression Web」のリリースと同時に「Expression Suite」のもう1つのコンポーネントのβ版をリリースした。

 これは「Expression Blend」と呼ばれるアプリケーションで、当初は「Sparkle」というコードネームで発表され、その後、「Interactive Designer」という名前になり、ITコミュニティーの間ではFlashキラーになると期待する声も聞かれた。

 米eWEEKラボでExpression Blendのβ版をテストした結果から判断すれば、Adobeは当分、Flashの終焉が迫っているのではないかと心配する必要はなさそうだ。しかし、Expression Blendはデザイン志向のスタッフにとって、簡単なアプリケーションを作成したり、Visual Studio開発者と共同で高度なアプリケーション用の魅力的なインタフェースを作成することも可能な興味深い選択肢であると感じた。

 インタフェースのデザイナーだけでなく、本格的な開発者向けにも多数の機能を備えるFlash Professionalとは異なり、Expression Blendはデザイナーを念頭に置いて開発された製品である。

 Expression Blendではタイムラインとデザインツールに重点が置かれており、ラボでのテストでも、数年前にFlashキラーとして騒がれたAdobeのかつての製品、LiveMotionを思い起こさせた。

 Expression Blendは、新しいWindows Presentation Foundation(WPF)およびXMLベースの言語であるXAML(Extensible Application Markup Language)を用いてアプリケーションを構築する。

 作成されたアプリケーションは今のところ、VistaおよびWindows XPのアップデート版上でしか動作しないが、Microsoftは12月4日に「Windows Presentation Foundation Everywhere」のコミュニティープレビュー版もリリースした。これは、一部のWPFアプリケーションが非Windowsプラットフォーム上で動作することを可能にする。

 Expression Blendのβ版のテストでは、この製品は直感的なインタフェースを備えながらも、イライラさせられるようなデザインも見受けられることが分かった。

 アプリケーションを起動、実行するのは非常に簡単で、デザインモードおよびXAMLコード表示での操作も簡単だった。

 しかしタイムラインビューでの操作はイライラさせられることが多かった。タイムライン用の記録ボタンが小さな赤い点になっているため、ややもすると見落としてしまうのだ。

 また、Expression Blendインタフェースの多くの個所でマウスの右クリックメニューが用意されていなかったり、メニューを表示させるのに小さなアイコンに正確にカーソルを合わせたりしなければならなかったりした。

 しかしβ版でありがちなこういった癖に慣れてしまえば、Expression Blendは魅力的なアニメーション式インタフェースレイヤを作成できる興味深いツールであると感じた。また、データ連携機能を利用すれば、単純ながらも効果的なスタンドアロン型のWPFアプリケーションを作成することができる。

 当然ながら、Visual Studioとの連携にも優れており、デザイナーが最上層のインタフェースを作成した上で、開発者と共同で高度なアプリケーション機能を開発するといったことが簡単に行える。

 Expression Blendの製品版は2007年4〜6月期に出荷予定で、価格は499ドルになる見込み。詳細な情報はこちら(関連リンク)に掲載されている。

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