Sun、Solaris 10の3番目のアップデートをリリース

Sunは2007年前半にXenハイパーバイザーをSolaris 10に統合する予定だ。

» 2006年12月13日 14時48分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 米Sun Microsystemsは12月11日、3つ目のそして最新のSolaris 10アップデートのダウンロード提供を開始した。これまでリリースされた中で最もセキュアなバージョンだとSunのシステムソフトウェア担当副社長トム・ゴーウェン氏はメディアイベントで語った。

 また同氏はこのイベントで、Sunが2007年前半にXenハイパーバイザーをSolaris 10に統合する予定であることも発表した。この技術は次のアップデートで提供されるという。

 Xenハイパーバイザーを組み込んだSolaris 10はOpenSolaris.orgで既に提供されているが、そのコードは現在、Solarisに組み込まれる技術に課せられる厳格なテストを受けているところであり、品質基準を満たしてからでないとリリースされないと同氏は述べた。

 「Solaris 10は世界中で最もセキュアなOSであり、3つのプロテクションプロファイルでCommon Criteria CertificationのEA 4レベルを取得できると確信している」(同氏)

 最新アップデート「Solaris 11/06」には、内蔵型マルチレベルセキュリティを提供する「Trusted Extensions」が含まれる。これは以前は、別のOSリリースとして配信され、販売されていた。

 「Trusted Extensionsの機能の1つに、システムが処理するすべてのオブジェクトにセキュリティプロファイルまたはタグを付けられるというものがある。これはユーザー、システム、アプリケーションが特定の動作を行うのを防止する」(ゴーウェン氏)

 今回のアップデートは、「デフォルトでセキュア」機能を提供する。これはデフォルトですべてをロックするよう設計されている。このアップデートはSunのアプリケーションのバイナリ互換性保証を提供する。これはSolarisのすべてのアップデートとメジャーリリースに当てはまる。

 「これはほかのどのOSもやっていないことだ。多くのOSは実際、リリースの間の互換性を壊している。Solaris 10はすべてのレガシーアプリケーションと新しいアプリケーションを活用できる」とゴーウェン氏。

 また今回のアップデートは、興味深い仮想化のアップデートも含む。コンテナのクローンを作成して別システムへ移動し、多数のシステムで走らせたり、同じマシンで複数のクローンを走らせるのを容易にする機能などがそうだ。

 だがゴーウェン氏は、「Solaris ContainersがSolarisの仮想化のすべてではない」と強調し、VMwareによって人気を博し、今はXenSourceが取り組んでいるハイパーバイザー技術もSolaris向けに提供されると語った。

 「コンテナレベルだけではなく、システムレベルでも仮想化できるようになる。そのメリットは、サーバの整理統合、利用率が75%に向上すること、環境全体をより柔軟にして、新しいアプリケーションとサービスを市場により迅速に投入できるようになることだ」(同氏)

 「現在、人々が環境の仮想化を選んでいる理由は、新しいハードでレガシーOSを動かしたいからだ。そこに市場がある。だが仮想化はデータセンターで飛躍し始めたばかりだ」と同氏。

 SunはハイパーバイザーをOSの機能として提供する意向だ。このためSolaris 10はシステムにハイパーバイザーとして、またはゲストOSとして、あるいはハイパーバイザーなしでインストールできるだろうと同氏は言う。

 「ハイパーバイザーをDTraceできる」とゴーウェン氏は語り、「仮想化とハイパーバイザー技術には全般にセキュリティ問題があるが、当社がユーザーとユーザーのOSを守る」と述べた。

 Sunは、オープンソースやLinuxのコミュニティーの多くに積極的に参加しているため、これらと競い合うことを望んでいないと同氏は述べ、同社は商用Solarisのメリットを積極的に推進し、競合OSと比較することを続けると話した。

 Sunはまた、OpenSolarisコミュニティー参加者のニーズに合っているかどうかを見極めるために、GNU GPL 3に参加し、注目している。

 ゴーウェン氏は、非GPLソフトとGPLソフトを組み合わせられる点など、GPL 3の多くの要素は興味深く見えると語った。

 発売から2年間のSolaris 10の需要は好調であり、650万件のライセンスが販売され、そのうち3分の2がx86およびx64システム向けだと同氏は言う。

 また同氏は、IBMのAIXなどのOS向けDTraceが登場することをSunは懸念しているのかとの質問に対し、人々はDTraceなどのSolaris機能をMac OSなどほかのOS向けに提供するべく取り組んでいると答えた。

 Apple ComputerのMac OS X 10.5「Leopard」は、「Xray」という新しいアプリケーション性能測定ツールを備える。この機能はオープンソースのDTraceをベースにしているが、DTraceのコマンドラインでのカーネルとユーザーコードの監視に対してグラフィカルインタフェースを提供する。

 「われわれは顧客を囲い込むことに何らメリットを見出していない。顧客は囲い込まれないようにすることに詳しくなっている。われわれはより優れた自動化と管理機能を持つDTraceのような機能で、かろうじて上っ面をなでたにすぎないとも考えている」(ゴーウェン氏)

 Sunは2007年にWeb2.0企業やその他の新興企業と広範に協力する予定であり、この計画は既に「Startup Essentials」プログラムの下で始まっている。これらはSunがビジネスを促進するために開発する革新を利用したがっている企業だと同氏は言う。

 だが同氏は、これらWeb2.0企業の間ではLinuxが最も広く使われていることを認めている。これにはFedExやAmerican Airlinesも含まれる。これら企業はインターネットを利用して事業を促進・拡大し、顧客に革新的なサービスを提供しているからだという。

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