ICT時代のベストコミュニケーションツールとは「行く年来る年2006」ITmediaエンタープライズ版(2/2 ページ)

» 2006年12月28日 09時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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「セキュリティ≦生産性」を実現する企業向けIM

 企業でのIM利用について、日本IBMでIM製品「Sametime」を担当する羽田野哲男氏(ロータス事業部製品リリースマネジャー)は、「気になるツールであっても、具体的なメリットがあまり知られていないようだ」と話す。

 同氏によれば、国内のSametimeユーザーはNotes/Domino導入企業の1割程度、米国では3割程度とのこと。Sametimeは1999年に製品化されたが、2004年4月からNotes/DominoのライセンスでSametimeを利用できるようになり、これを機会にIMを利用する企業が現れ始めた。

 導入例として多いのがIP電話との組み合わせだ。IMで在席状況を確認し、「席にいる」「連絡できる」と分かれば、ワンクリックでソフトフォンから電話を掛けられる。また在宅勤務者の多いある企業では、全社員がIMを利用しているという。同僚の在席確認だけでなく、IMを介して「つながっている」という在宅勤務者同士の連帯感を生むという。

 IM利用で情報漏えいが一番に心配される。一般に広く普及するAOLの「AIM」や「Yahoo! Messenger」は手軽に利用できる反面、管理者機能は備わっていない。しかし、企業向けのIM製品であれば通信の暗号化やアクセス制御は当然として、ログの保存管理などに対応したものが多い。

 「セキュリティを施した企業向けIMを利用すれば、メールよりもリアルタイムの意思決定を安心にできる」(羽田野氏)と話す。

ベストコミュニケーションツールは、やはりIM?

 これまでに挙げたIMの利点は、「社内ネットワーク」で、相手が「席にいる」ことで最大化される。それでは「社外」や「不在」の場合はどうだろうか。

 米IBMでは12月14日に、SametimeとAIMやGoogle Talk、Yahoo! Messengerを相互接続すると発表した(関連記事参照)。これにより、世界のIMユーザーの70%が相互接続できるという。「異なるベンダーの製品をつなぐだけでなく、同じベンダーの製品を使用している外部の企業ともつながるので企業間のコミュニケーションが促進される」(羽田野氏)とのことだ。

BuddyMap SametimeとGoogle Mapsのマッシュアップで実現する所在確認の「BuddyMap」

 しかし、IMの在席機能で相手が「不在」なら、コミュニケーション手段はメールのような一方通行的なメッセージにとどまる。IBMではEclipse環境で複数のアプリケーションを統合させることができる「Lotus Expeditor V6.1」を11月29日に発表した。

 これにより、SametimeとGoogle Mapsを利用して、不在者が地球上のどこに居るのかが分かる仕組みを開発できる。相手の所在が分かれば、一歩進んだ不在時のコミュニケーション手段が生まれるだろう。

 「IMがもはや当たり前」という10代の若者たちは、早ければあと2〜3年ほどで社会に出るようになる。そのとき彼らは、何時間もメールと格闘する先輩社員を見てどのように思うのだろうか。2007年は、電話やメールに続く新しいコミュニケーションツールとして、IMの有効活用に取り組む企業が増えそうだ。

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