「ITからICTへ」といわれて久しい。2006年は情報共有のツールとして、SNSに代表される「Web2.0」が急成長を遂げた。ICTの真理とは「共有」といっても過言ではないだろう。そして今度は、情報だけでなく時間も共有するツールとして、インスタントメッセンジャー(IM)にスポットが当たり始めた。
「10代の若者の72%がメールよりもIMを好んで使う」――米America On Line(AOL)とAssociated Pressは12月7日、IMユーザー1513人に対して行ったIM利用動向の調査結果を発表した。19歳以上の成人では26%に達する。
この結果について、AOLのAIM & Social Networking のマーシェン・ジェンキース ヴァイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーは、「IMはすでに生活の一部であり、特に10代の若者には、まるで家族のように友人と同じ時間を共有するためのツールになっている」とコメントしている。
IMには、登録した仲間がオンラインかどうか、連絡できるのかどうかといった「今現在」の状態が分かる機能(プレゼンス確認)が備わっている。米国の若者がIMを支持する理由は、まさしくこの機能にあるといえるだろう。
30代以下のIMユーザーのほとんどが、「毎日IMを利用している」という。19歳〜29歳のユーザーでは、全体の40%が1日に26通以上ものメッセージをやり取りするといい、10代を含めた若い世代にとっては、IMが最も身近なコミュニケーションツールであることが窺える。
なお、「IMを仕事に活用している」というユーザーは、成人ユーザー全体の27%。このうち59%が1日に6通以上のメッセージを同僚に送っているという。また41%は、「IMは仕事の生産性を高めてくれる」と回答しているという。
AOLの発表と前後して、日本でもIM利用動向の調査が行われた。企業向けのIM開発を行うQriptは12月6日〜7日、10代〜50代までの578人に対し、インターネットでIM利用についてのアンケートを行っている。
それによると、15歳〜29歳の80%以上が「IMを知っている」と回答し、55%以上がIMの利用経験者であった。40代と50代の認知率は、それぞれ73.6%、69.2%となったが、利用率は26.4%、23.1%にとどまる。
IMの利点については、利用経験者の83.4%が「相手とリアルタイムにコミュニケーションできる」、60.3%が「相手がオンラインかオフラインかひと目で分かる」と複数回答している。業務利用では、コミュニケーションを取る相手が「社内の人」というのが10.6%、「社外の人」が4.0%となった。
これらの統計はIM製品全体の利用実態を調べたものだ。だがビジネス利用については、米国では成人ユーザーの約3割、日本では約1割となり、少しずつ広がり始めているというのが実情のようだ。
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