中古PCは買い替え需要の潤滑油?――業界の新たな取り組みは「3R」へ(2/3 ページ)

» 2007年04月03日 07時00分 公開
[松岡功,アイティセレクト編集部]

中古品は買い替え需要を促進する“潤滑油”

 現在、新品のパソコンの国内出荷台数は年間で1200万〜1300万台規模。一方、中古品は100万台から150万台の間と目されており、新品のおよそ1割の規模に達すると推測される。しかしながら、その品質やデータの消し忘れなどによる情報漏えいの懸念が指摘されてきた。

 ただし、情報漏えいについては中古品の場合、一般的にハードディスク内のデータ消去は元々のユーザー側の責任とされている。とはいえ、データ消去が不完全なハードディスクから個人情報が漏えいした場合、中古品を取り扱う事業者が不信感を持たれる恐れがある。こうした状況から、RITEAでは事業者側もデータ消去を徹底する必要があるとして今回の制度導入に踏み切った。

 一方、RITEA常務理事・事務局長の小澤昇氏は、パソコンビジネスの観点から中古品の効用をこう語る。

 「パソコン市場では買い替え需要が急速に増えてきています。中古品もその波に乗って増えていますが、メーカーからすると、ともすれば中古品が新品の需要を浸食するのではないかと捉えがちです。しかしそれは認識違いで、買い替えたくても予算の都合で新品には手が届かないユーザーが、当面使えればと中古品を購入されるケースが多い。そのユーザーが次に買い替える時は新品を購入されるかもしれません。つまり、中古品が買い替え需要を促進する潤滑油のような存在になっているのです」

 中古品は買い替え需要を促進する“潤滑油”――こう強調する小澤氏は、「新品を拡販するためにも中古品はなくてはならない存在だ」と言い切る。

情報機器利用の3Rプロセスに寄与

 今回のRITEAの取り組みは、中古情報機器の品質を高めて認知を広げ、流通を促進しようというものだが、その背景にある最大のテーマはまさしく“IT業界の社会的責任”だ。中古品が担うリユース(再利用)は、リデュース(廃棄物の発生抑制)、リサイクル(再資源化)とともに「3R(スリーアール)」と呼ばれる産業界の環境保全対策の重要な要素である。

 RITEAでは、中古情報機器のリユースが使用済み情報機器の再利用、情報機器の長寿命化につながるだけでなく、廃棄物の発生抑制やCO2排出削減といった環境・循環型社会に貢献する重要な事業と位置付け、情報機器利用の3Rプロセスである「新品(リデュース)――中古品(リユース)――部材化(リサイクル)」といったバリューチェーンの構築に寄与していきたいとしている。

有限中間法人・中古情報機器協会(RITEA)常務理事・事務局長の小澤昇氏

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