テクノロジー分野の求人がパンデミック前から3割減った。だがIT人材の需要そのものは消えていない。ある調査は、AIの普及で「削られる仕事」と「必要とされ続けるスキル」が明確に分かれ始めた実態を示唆する。
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ベネズエラ出身。ソフトウェア業界やデータ分析、テクノロジーの未来が専門領域。
テクノロジー(IT)分野の雇用市場は、2025年の年間を通じて浮き沈みを繰り返した。人材サービスを手掛けるIndeedが公開した新しいレポート(注1)によると、米国におけるテクノロジー職種の求人掲載数は、パンデミック(感染症の世界的大流行)前の2020年初めから約3分の1減少し、当時の約3分の2の水準にとどまっている。同社は2025年10月31日(現地時間、以下同)までの求人掲載データを追跡し、同年11月20日にレポートを発表した。
レポートによると、データ分析およびアナリティクス(Data & Analytics)に関連する求人は前年から13.2%減少し、ITシステム(IT Systems & Solutions)に関連する求人も9.8%減少した。Indeedの採用研究部門であるHiring Labで経済調査を担当するローラ・ウルリッヒ氏は、テクノロジー職種の求人が振るわない背景として、テクノロジー分野で採用抑制や人員削減が続いていることを挙げる。この傾向は2026年も続くというのがウルリッヒ氏の見方だ。
採用の冷え込みは、パンデミック後の好景気時に人員を増やし過ぎた反動による影響が大きいとウルリッヒ氏は説明する。加えてAIによる影響も無視できない。同氏は「AIがテクノロジー業界の採用低迷を引き起こしたわけではない」と前置きしつつ、AIが採用の回復ペースを鈍化させている可能性を指摘する。
テクノロジー職種の採用が伸び悩む中、主要なテクノロジーベンダーは組織や事業の再編を進めている。こうした変化を促す主要因となっているのがAIだ。Amazon Web Services(AWS、注2)やIntel(注3)、Microsoft(注4)は戦略を大幅に転換する中で人員削減を進めており、2025年には万単位の人員削減に踏み切った例もある。
採用の冷え込みは、テクノロジー分野の全ての職種に同じように及んでいるわけではない。「テクノロジー分野の求人掲載数を見ると、エントリーレベルの職種で求人数が明らかに減少している」とウルリッヒ氏は指摘する。中でも「開発者」(Developer)や「アナリスト」(Analyst)といった名称を含むエントリーレベル職種は、他の職種よりも求人の落ち込みが大きいという。このように職種によって採用状況が大きく異なる状況は、求人市場全体の動きを反映していると同氏は説明する。
AIに関して世の中に出回っている話の中には「悲観的なものが多く、心配になる」とウルリッヒ氏は語る。AIにはバブル(過度な投資の加熱)崩壊への懸念や、それに伴う景気減速といった不安要素はある(注5)。だがIT分野の経験を持つ人材の需要が、AIによって大きく落ち込むことは、少なくとも当面はないと考えられる。
経営層がAIツールを導入する際、特に重視するのは単純で反復的な業務の自動化だ。明確な技術的スキルを持つ人材は、今後も数多く必要になる。こうした人材の需要は「特定の業界に限らず、経済全体に広がっている」とウルリッヒ氏は指摘する。
(注1)Indeed’s 2026 US Jobs & Hiring Trends Report: How to Find Stability in Uncertainty(Hiring Lab)
(注2)Amazon cuts 14K jobs in AI-fueled reorganization(CIO Dive)
(注3)Intel to cut 25% of its workforce, scrap European manufacturing projects(Manufacturing Dive)
(注4)AI-driven job cuts may be underreported: Challenger(CFO Dive)
(注5)Nvidia Calmed Fears About A.I. How Long Will That Last?(The New York Times)
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