ニュース
» 2007年05月08日 15時58分 公開

Dellの次なる革新――Ubuntu Linuxプリインストール

苦境にあえぐDellの新たな改革の柱となるのは、Linuxへの対応と販売チャネルの拡大であるようだ。

[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 1年近く前にAdvanced Micro Devices(AMD)のプロセッサを自社のハードウェアに搭載すると発表したDellは、現在も市場シェアの低下、業績不振、顧客サービスへの不満に起因する企業イメージの悪化、会計処理に関する連邦政府の調査といった問題に対処するために改革を継続中だ。

 テキサス州ラウンドロックに本拠を構えるDellの新たな取り組みの1つが、Canonicalとの提携を通じて自社のデスクトップとノートPCにUbuntu Linuxをプリインストールするというものだ。さらに同社は、従来の直販モデルを補完する販売チャネルを導入する準備も進めている。

 アナリストらによると、顧客にフォーカスした今回の取り組みは、Dellが現在も先進的なベンダーであることを示すことを狙ったものだという。同社はさらに、ノートPC「Latitude」シリーズの一部のモデルで最新のSSD(Solid State Drive)技術を採用するほか、MicrosoftのWindows VistaベースとWindows XPベースのPCを販売する方針も明らかにした。

 技術とマーケティングの両面にわたる取り組みは、今後のさらなる変化を予想させるものだ、とアナリストらは指摘する。

 IDCのアナリスト、リチャード・シム氏は、「これらはすべて、同社がもはや効率だけを重視するのではなく、顧客を呼び戻すことに注力するという包括的な構想の一部である」と話す。自社のPCが価格的魅力以上の価値を持っていることを示したいとDellは考えているのだという。

 「同社が推進しようとしている技術の多くは新しいものであるため、やけどする恐れもある。例えば、Solid State Driveについては、同社が破れかぶれになっているという見方もあれば、最先端を進んでいるという見方もあるだろう。どちらの見方も、ある程度の真実を含んでいる」とシム氏は話す。

 Dellの「PowerEdge」サーバを長年利用しているRackspaceで戦略と企業開発を担当するルー・ムアマン上級副社長は、直販モデルの見直しやUbuntu Linux搭載PCに向けた動きなど、Dellが変化しつつあることに気付いていたという。

 テキサス州サンアントニオにあるRackspaceでは、Red Hat Linuxで動作するサーバを数千台使用しており、ムアマン氏によると、同社では多くのITマネジャーが自分のデスクトップでLinux(Ubuntuを含む)を利用しているという。

 5月1日に発表されたCanonicalとの提携は、「興味深い動きだが、Linuxデスクトップに巨大な市場があるかどうか分からない」とムアマン氏は話す。「非常にアグレッシブな方針であり、リスクも少しある。DellがIntelに加えてAMDのプロセッサも採用すると発表したときのことを思い出す。同社は新しいものを試そうとしているのだと思う」。

 Dellの広報担当者、ジェレミー・ボーレン氏によると、今回の方針は顧客のニーズに応えるのが目的だという。「顧客が得をすればDellも得をする、というのがわれわれの基本的な考え方だ。デスクトップとノートPCの分野でLinuxへの需要が拡大しており、当社の取り組みに対してポジティブな反応があるものと確信している」と同氏は話す。

 1月31日にCEO職に復帰したマイケル・デル氏の4月27日付のメモに関する報道も注目を集めた。このメモは従業員に宛てたもので、直販モデルだけに依存してきた同社の姿勢を改める可能性を示唆する内容だった。デル氏はメモの中で、顧客への直販方式は革命であったが、「宗教ではない」と述べている。

 Endpoint Technologies Associatesのアナリスト、ロジャー・ケイ氏は、「マイケルはこういったことを積極的に試そうと考えているのだ。彼は財務責任者のように振る舞うのではなく、現場で指揮する業務マネジャーのように振る舞っており、Dellモデルすべてが見直しの対象になっているようだ」と話す。

 これら一連の動きの背景には、DellがPC市場における自社の足場を再発見したいと考えていることがある。GartnerとIDCの4月18日の発表によると、ワールドワイド市場ではHewlett-Packard(HP)が引き続きリードを維持する一方で、Dellが失った市場シェアの一部をAcerなどの中堅企業が取り込んでいる。

 Dellはワールドワイドの販売で第2位に踏みとどまっているが、Gartnerによると、同社のPCの出荷台数は2006年第1四半期の940万台から今年同期には7.8%マイナスの870万台に減少した。一方、HPのPC出荷台数は28%以上増加し、Acerは出荷台数を46%伸ばした。

 「HPとAppleに加えてAcerも、コンシューマー市場セグメントで急速にシェアを拡大しており、これらの企業はDellの顧客を奪う可能性がある」とシム氏は話す。

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ