rsyncを使いこなせば、あなたが想定するバックアップのニーズのほとんどに対応できるようになる。ここでは、あなたをrsyncマスターにするためのポイントを解説する。
この2カ月でわたしはあちこちに出かけた。その間、メインで使っているデスクトップコンピュータは眠ったままだった。もしrsyncを使いこなせていなかったら、きっと厄介なことになっていただろう。しかし、このユーティリティを定期的に使っていたおかげで、すでにわたしのデータ(とにかくその大部分)は別の場所にコピーされていつでも使える状態になっていた。rsyncの習得には少し時間が掛かるが、いったん覚えてしまえば、ごく短いスクリプトを使ってバックアップのニーズのほとんどに対応できるようになるはずだ。
rsync の素晴らしさはどこにあるのか。1つは、毎回ファイルを丸ごとコピーするのではなく、新旧ファイル間の差分をコピーすることでファイル転送を高速化している点だ。例えば、この記事を書いているときも、rsyncで今すぐコピーを行い、後でまたコピーすることができる。2回目(あるいはそれ以降)に rsyncでこのファイルをコピーするときは、差分だけがコピーされる。そのため、所要時間はずっと短くて済む。これは、ディレクトリ全体を1日ごとにバックアップしたりする場合に特に重要だ。初回のコピーにはかなり時間が掛かるが、次回以降はわずか数分で終わる(そのディレクトリの毎日の変更量があまり大きくなければの話だが)。
もう1つの利点は、rsyncではパーミッションおよび所有者情報の保存、シンボリックリンクのコピーが可能であり、全般的に各種ファイルをうまく処理するように作られていることだ。
わざわざrsyncをインストールする必要はないだろう。ほとんどのLinuxディストリビューションではデフォルトで使えるようになっているはずだ。そうでなくても、ディストリビューションのパッケージリポジトリからインストールできる。言うまでもないが、リモートシステムにデータをコピーする場合はローカルとリモートの双方のマシンにrsyncが必要になる。
別のホストにファイルをコピーする場合、rsyncは、SSH(Secure Shell)やRSH(Remote Shell)のようなリモートシェル経由で動作する。以下の例ではSSHを利用するが、それはRSHがセキュアでなく、それをデータのコピーに使いたいと思う人はたぶんいないからだ。rsyncデーモンを使ってリモートホストに接続することも可能だが、最近はほぼどこでもSSHが使えるので、わざわざそうする必要はないだろう。
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