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» 2007年10月26日 09時48分 公開

人心掌握の鉄則:モチベーションは上げようとするな、維持させよ。 (1/2)

明らかにやる気が落ちている、意欲的でない人に対しては、どうしても「モチベーションを上げるには」と対処法を考えてしまう。しかし上げようと無理をするのではなく、本来のレベルに戻そうというぐらいがちょうどいい。

[アイティセレクト編集部]

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自然に元のレベルに戻すことを考える

 2005年、野村総合研究所が「仕事へのモチベーションに関する調査」を行った。この調査は上場企業の20代から30代の正社員が対象である。1000サンプルにも及ぶデータの分析結果は、75%もの若者が現在の仕事に無気力を感じているということだった。

「仕事へのモチベーションに関する調査」野村総合研究所

 「日本の労働者の働く意欲は年々低下して、グローバルで比較しても非常に低い結果となっている」といったさまざまな調査はいろいろ形で発表されている。野村総合研究所の調査もそうした他の調査の結果とほぼ同調するものといっていい。

 しかし無気力感を抱いているからといって、潜在的なポテンシャルが落ちていると考えるのは早計だろう。何かのきっかけで、無気力感から脱することは可能なのではないだろうか。

 「仕事へのモチベーションに関する調査」の調査リーダーである野村総合研究所、コンサルティング事業本部の事業企画室室長、齋藤義明氏は次のように語る。

 「他の調査で、日本の労働者のモチベーションが下がっていて、グローバルでも非常に低いという結果には、正直驚きました。自分の周囲にもそんな無気力感を抱いて働いている人間がいるのか、そんな風には見えないなぁと。ただ、そうした結果がまったく検討はずれの調査によって導き出されたとも考えにくい。個人的には、経済が成熟した段階に入った国が必ず通過していかなくてはならない関門に日本もさしかかっているのてばないか、ということですね」

 齋藤氏は、経済成長が猛烈なスピードで進んでいるときと同じような形で、成熟段階においても労働者がモチベーションの高い状態を持っているのは難しいと語る。

 「働く人には5つの欲求、つまり『自己承認』『自己成長』『意味欲求』『創造性発揮』『自己実現』といった欲求を持っている。これらをバランスよく満たしていくことが求められているのだと思います。業績がいいから、儲かっているから働きがいがある、モチベーションを上げていけると考えていくと、マネジャークラスの人は部下の心理を見誤る可能性があると思います」

 もちろん業績が良ければそれに越したことはない。ただ、それによって働く人すべてがモチベーションを常に上げることができるとは限らなくなっているということだろう。

 齋藤氏はモチベーションは上げようとするのではなく、維持するものだと考えたほうがいいと話す。

 「自分を認めてもらいたい、成長したい、働く意味を見出したい、といった欲求を抱いている人は多いはずです。ただがむしゃらに働くことだけでは満足しない、ということはもともとモチベーションは高い。ですから、欲求の一部が満たされないだけなのに、モチベーションが低いと判断すること自体、間違った対処をしてしまう可能性がある。本来のレベルのモチベーションを維持する。低下傾向にあれば、自然に元に戻るにはどうすればいいかを考えるべきでしょう」

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