戦場にも情報を――国防総省がマッシュアップおよびマイクロフォーマットの採用へ

米国国防総省が、マイクロフォーマットとマッシュアップを用いて既存データをまとめ、兵士がそうした情報を利用できるようにする計画を立てている。

» 2007年12月05日 17時48分 公開
[Darryl K. Taft ,eWEEK]
eWEEK

 21世紀に生きる兵士や戦場で働く隊員たちもWebを使えるようにと、米国国防総省(DOD)が、マッシュアップおよびマイクロフォーマットと呼ばれる技術の導入を検討している。

 マイクロフォーマットとは、Webページを簡単にマークアップすることのできる、軽量かつ非侵入的なメタデータを指す。マッシュアップは、無関係なWebページに含まれる情報を、さまざまな方法でまとめるWebサービスである。こうした情報の収集は、オリジナルコンテンツ作者の関知しないところで行われる。

 DODの請負業者、Mitreの専門家であるロージー・モラリス氏は12月4日、現地で開催された「XML 2007」イベントで、ペンタゴンはマイクロフォーマットおよびマッシュアップの両技術を併用し、今ある情報を広く再利用できるようにする取り組みを進めていると話した。

 モラリス氏は、「A Lightweight Approach to Building the Department of Defense's Semantic Web: Can Mashups Bring the 'Wild, Wild Web' to the Warfighter ?(国防総省用セマンティックWebを手軽に構築する方法:マッシュアップは戦場に自由闊達なウェブをもたらせるか? )」と題する講演を、Mitreの同僚であるメアリー・アン・マロイ氏とともに行い、「一からすべてを作り直す必要はないと、DODは考えるようになっている。すでに存在しているものを活用したいと思っている」と話した。ブログやWebサービス、RSSなどに慣れ親しんだ人々がDOD内で出世し始め、「新たな世代が(こうした流れを)先導している」という。

 「戦場を仕事場とする人々の中でも、若い世代はこの手の技術を使いこなしている。彼らはこうした技術を利用して、戦場で互いにコミュニケーションを取っているのだ。ならば軍としてこれを歓迎しようと、DODは考えている」(マロイ氏)

 Mitreは大手の政府請負業者で、ほかの政府組織と比べ、DODとの仕事を数多く引き受けている。同社の主な拠点は、バージニア州とマサチューセッツ州のベッドフォードにある。

 マロイ氏は、マイクロフォーマットに焦点を当てるのはDODにとって非常に有益だと話す。(XML、RSS、HTML、XHTMLといった)Webドキュメントに簡単な意味拡張を追加するのに、マイクロフォーマットは非常に機動性の高いマークアップ技術だと言える。

 さらにマイクロフォーマットは、人名や出来事など、多くの人が共有し、公になっているドキュメント内のデータを、当該のドキュメントを参照している人には見えないもの、機器にとって判別しやすく、活用しやすいもの、ユーザーが幅広い対象者にすぐ公開できるようにされているものといった特徴に従って、分類することができる。

 マロイ氏によれば、「Mission」「Vehicles」「Tracks」「Overlays」「Targets」などが、DOD特有のマイクロフォーマットになる可能性があるという。

 マイクロフォーマットを利用すれば、Webドキュメント中の公開情報を、マッシュアップやマイクロフォーマット対応アプリケーションを介し、一般大衆の目に触れさせることもできると、マロイ氏は説明した。

 これに加え、DODはこうした技術を駆使して、既存のドキュメントを「ネット中心」的な視点から、手軽かつ経済的に再利用させられる。ただし、この仕組みを実現するには、インジェクションを自動化する必要があるという。また、広く使用されているDOD特有のコンセプトにマイクロフォーマットを適用させるためには、エクステンションがいつくか必要になるかもしれないと、マロイ氏は話した。

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