RAIDで高速デスクトップValidation Case Study(2/3 ページ)

» 2008年01月28日 09時15分 公開
[Simon Kaczor,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

プロダクティビティアプリケーションとマルチタスク

図1 図1:プロダクティビティアプリケーションとマルチタスクのテスト結果

 理論的に言えば、HDD2台でミラーリングしたディスクアレイを使った場合には、連続的な読み取りを2倍行うことができるはずだ。またHDD2台でストライピングしたディスクアレイを使った場合には、連続的な書き込みも2倍の速度で行うことができるはずだ。しかし現実にはほとんどの場合において、実測値としての性能の向上はずっと小さい。例えば、プロダクティビティアプリケーションについての結果(図1)のグラフからも分かるように、HDD2台の構成の両方でシステムの起動時間は12秒短縮しただけだ。これは朝仕事に出かける直前に急いで地元の天気予報を確認する場合を考えるとうれしい結果かもしれないが。

 ただし、ディスクを激しく使用する操作を同時に複数実行した場合には、もっと顕著な向上が見られた。この場合の性能向上は驚異的で、別プログラムが激しくデータを検索しているときにブラウザを起動しても、1分近くも待たされることはなく、たった8秒で起動した。

 ミラーリングしたディスクアレイは、複数の読み取りを行う際に明らかに優れていた。これは理論通りだ。2台の各HDDの上に同じデータがあるため、システムは読み取り操作を同時に並行して行うことができるので、全体としての性能を著しく向上させることができる。

ソフトウェア開発

図2 図2:ソフトウェア開発のテスト結果

 ソフトウェアが巨大な1つのファイルから構成されていることはめったになく、通常はソースコードを読みやすくするために複数の小さなファイルに分けられている。そのため連続的な読み取りにおいて効力を発揮するストライピング構成から性能の向上を得ることはほとんど期待できない。一方ミラーリングでは、複数の操作を並列して実行するような開発タスクについて性能が向上する可能性がある。

 今回実行した開発タスクは、コンパイルを除いてはマルチスレッド化されていなかったので、結果的に小さな性能向上しか見ることができなかった(図2)。とはいえコンパイルに関しても、(コンパイルは主にCPUを使用する処理なので)テストの間のディスクへのアクセスはあまり多くは発生しないので大きな向上は見られなかった。

 大規模なプロジェクトをコンパイルするのと同時に大量のファイルを読み込むといったような、もっと多くのタスクを同時に実行した場合には、テスト結果は異なるものになったかもしれない。またクアッドコアのCPUを使用すれば、HDD2台を使用したディスクアレイの利点をコンパイルの際にもっと生かすことができる可能性もあるだろう。

コンテンツ作成とエンターテイメント

図3 図3:コンテンツ作成とエンターテイメントのテスト結果

 ホームビデオの編集はやりがいのある趣味だが、圧縮しない状態のビデオには大量のディスク空間が必要となるため、快適な作業をするためにはストレージシステムの性能が非常に重要だ。ディスクのスループットが不十分である場合、ビデオの読み込みや保存に長い時間がかかり編集作業に集中する妨げになる。

 コンテンツ作成のような作業では、RAID 0ストライピング・アレイが明らかに適している。マルチメディア関連についての結果(図3)から分かるように、ビデオは半分の時間で保存することができて、1年分のデジタル写真集もすぐに閲覧することができた。グラフではDVD作成についての RAID 0の優位性が小さいが、これはDVDの作成が主にCPUを使用する作業であるためだ。しかし満足できる映像を手早く完成させてしまうことができれば、KinoがDVDをエンコード/書き込みしてる間は一服する余裕ができるだろう。

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