ブログを核にしたサービス連携とユーザーへの誠実さで躍進日本のインターネット企業 変革の旗手たち(1/2 ページ)

手軽に情報発信ができるブログ。今でこそ誰もが利用するツールとなったが、登場当時は認知度も低く、まして利用するユーザーはごくわずかであった。そんなブログのビジネスにいち早く飛び込み、成長を続けてきた企業の一つがシーサーである。

» 2008年01月29日 00時00分 公開
[聞き手:柿沼雄一郎,ITmedia]

 シーサーは、月間で1100万人が利用する巨大なブログサービス「Seesaaブログ」を提供している。ユーザーから高い支持を受けるブログシステムの秘密を、代表取締役社長兼最高経営責任者の佐々木睦夫氏に聞く。

ITmedia インターネットの分野では欠かせないツールとなったブログですが、なぜこのブログサービスに注目したのでしょう

佐々木 私自身はオン・ザ・エッヂ(現ライブドア)に在職していた35歳の当時、何か新たなビジネスができたらということで、インターネットの世界へ飛び込む決心をしました。自らインターネットに真正面から向き合ったのは、シーサー設立のときからです。

シーサー 代表取締役社長兼最高経営責任者 佐々木睦夫氏

 シーサーの設立については、インターネットを使って何かをしたいと、前職の同僚でもあった創業者仲間と酒を酌み交わしたりしながら語り合ったのですが、当初はブログサービスをやるつもりはありませんでした。まずはネットのインタラクティブ性に注目して、ユーザーの作ったデジタルコンテンツを流通させる場を提供したら面白いのではないかと考えました。仕組みそのものはすぐに実現できそうだったのですが、自分たちの少ない資本では広告を出してそれをプロモーションするといったことはできなかったわけです。それならば、自分たちでメディアを立ち上げて広告の場を作ってしまえばよいのではと、考えてできあがったのがブログです。トラフィックを集めて、これをトリガーにマーケットプレースの活性化が図れるだろうと見込んだのです。こうしてまずブログサービスを作りました。シーサーの設立は2003年10月ですが、12月にはすでにブログサービスを開始していました。

ITmedia 当時の国内での認知度は?

佐々木 当時は国内にはブログサービスなどほとんど存在しませんでした。従って、認知度もありません。しかしながら、米国では一部のジャーナリストが利用し始めたことで、その有効性に注目が集まっていました。

 ブログサービスの開始と同時に、法人向けにSeesaaブログを開設できるブログエンジンの販売も始めました。ただ、営業に回っても理解をしてもらえず、苦労しました。「知っているけれど有効性も分からない」からということで、引き合いはほとんどありませんでした。

 ユーザーもすぐに集まるわけではなく、社員のブログだけがアクティブになっているといった状況でした。しかし翌年になると、ココログのサービスが開始され、ようやくブームに火が付きました。

ITmedia SNSなどエンドユーザーが情報発信する形態は今でこそ一般的になりましたが、当時はどのように発展していくと予想していましたか。

佐々木 一般のユーザーが簡単に情報発信でき、かつ一方通行でない流れが生まれることで、まったく新しいメディアとして育っていくだろうと見ていました。インターネットの新たな「波」になるだろうと期待も大きかったことを覚えています。

ITmedia 今や月間で1100万人が利用する巨大なブログサービスになっています。

佐々木 広告を出したことはありませんので、これはまさにユーザーのクチコミによるものといえるでしょう。サービス開始当初から、使い勝手や機能の豊富さといった点で良い評判を頂いていました。ブログサービスで先行していたライブドアには勝つつもりでやってきましたから、今の規模には驚きもありますが、さらに先にも進んでいかなければと考えています。

ITmedia 高機能なブログであることが初期においては差別化の要因でした。この点は意図していたのでしょうか。

佐々木 特にユーザーからの要望を常にキャッチアップして取り込んでいくということをやり続けてきました。小回りの利く会社でしたし、自社開発で行ってきましたから、今日考えたことが明日にはできあがっている(提供されている)という形でやってきました。

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