電力・冷却容量とコストで危機的状況に近づくデータセンター(1/2 ページ)

現役を退いた古いサーバが今でも稼働を続け、電力を浪費しているという重大な問題が調査で浮かび上がった。

» 2008年03月28日 16時29分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 データセンターのキャパシティとエネルギー効率に関する最近の調査の結果、増加の一途をたどる電力コストと冷却コストは、多くの業界関係者が予想していたよりも深刻な影響をITの経済に与えていることが明らかになった。

 この調査はニューメキシコ州サンタフェに本社を置くUptime Instituteが、企業のデータセンター管理者311人を対象に実施したもの。調査データは過去2週間で収集された。

 回答者の42%は、データセンターを拡張しなければ、今後12〜24カ月以内に電力不足に陥る見込みだと答えている。24〜60カ月の間に電力不足になると答えたのは23%だった。

 また冷却能力についても、今後12〜24カ月での限界に達すると答えた回答者は39%で、24〜60カ月で限界に達するとしたのは21%だった。

 Uptime Instituteの執行ディレクターで今回の調査の責任者を務めたケネス・G・ブリル氏は、eWEEKの取材で「幾らでもお金を使えるのなら話は別だが、IT部門の責任者はもはやデータセンターの電力・冷却コストを無視することはできない」と語っている。同氏は、先ごろニューヨーク市で開催されたeWEEK主催のData Center Summitでキーノートスピーチを行った。

 「“ムーアの法則の経済的破綻”とわれわれが呼んでいる状況が確認された。電力・冷却コストの増加はITの経済を根底的に変えているが、その変化は外からよく見えない」とブリル氏は話す。

 ブリル氏によると、調査の回答者のほぼ全員が電力・冷却容量の不足を訴えており、この状況がデータセンターの建設・改築ラッシュをもたらしているという。

 「データセンターの建設費はすべてIT部門の予算で賄われている」と同氏は付け加える。

 1U(最小サイズ)のサーバ1台に付き年間約1600ドルの施設コストが掛かる、とブリル氏は話す。そのうち約700ドルが電気代である。大量市場向けサーバの市販価格は3000ドル前後なので、電気代だけでも4年余りでサーバの取得コストを上回ってしまう、と同氏は指摘する。

 「電気料金が高いニューヨーク市や北東部などの地域では、この期間がさらに短くなる」とブリル氏は話す。

 「総合保有コストという点で考えれば、電力・冷却コストは2年以内でサーバの取得コストを上回ることになる。施設コストがサーバの取得コストと同じになるのに10〜15年ほどの期間を要した8年近く前から比べると、これは非常に大きな変化だ」(同氏)

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