Google Appsのエンタープライズ進出、Salesforceとの提携で前進なるか？

大企業での採用がなかなか進まないGoogle Appsだが、GoogleはSalesforce.comとの提携が大きな弾みになると期待しているようだ。

[John Pallatto，eWEEK]

　「Salesforce.com for Google Apps」の発表は、GoogleがWebベースのプロダクティビティアプリケーション、特にGoogle Apps Premier Editionを大企業に浸透させられずにいるのはなぜかという疑問を再び呼び起こした。

　この発表によって、GoogleはSalesforce.comが大企業のGoogle Apps移行を促進できると期待しているようだと、Burton Groupの調査ディレクター、ガイ・クリーズ氏は指摘する。

　同氏は、今回のSalesforce.comとの提携が、大企業によるGoogle Appsの採用に大きく弾みをつけることはなさそうだと語る。

　「Salesforce.comアプリケーションとの統合は素晴らしい」が、Salesforce for Google Appsは「（Salesforce.comの）インストールベースが対象となり、Salesforce.comを使っていない顧客には届かない」と同氏は言う。

　同氏はBurton GroupのWebサイトのブログで、GoogleがFortune 500社をMicrosoft OfficeからGoogle Appsに乗り換えるよう説得するのはまだ難しいと述べている。Google Appsには、スタッフの役割に応じた管理機能やオフライン機能、文書記録管理、自動脚注など、大企業が求める重要な機能がまだないからだという。

　Googleはこうした問題の一部に取り組んでいると同氏は言うが、重要機能がないということは、企業ユーザーがGoogle Appsを利用したくても、IT管理者やマネジャーから反対されるかもしれないということだ。

　記録管理は、訴訟や当局の調査に見舞われる可能性を常に懸念しなければならない企業にとって重要だと同氏は言う。そのような問題が起きた場合に、大量の企業文書を提出しなければならなくなるからだ。

　クリーズ氏は、おそらく、低価格のプロダクティビティアプリケーションを必要としており、「Officeにすべての費用をつぎ込むことにやや消極的な」大企業では、Google Appsが成功する局面もあると確信しているという。

　同製品の良い点は、ユーザーが「電子メールソフトやワープロソフトなど仕事に必要なものをすべて安く手に入れられることだ。彼らはパワーユーザーではないからだ」と同氏は言う。だがこのようなユーザーが求める条件は「必要なものがほとんどそろっている」ことだと同氏。

　だが、Google AppsとSalesforce.comの採用を支援するアプリケーションやサービスを提供するAppirioの創設者ナリンダー・シン氏は、かなりの数の大企業が、少なくともGoogle Appsを200〜1000人のユーザーに配備する試験プログラムを立ち上げていると主張する。

　AppirioはGoogle Appsの大規模な導入を開始している「多数のメーカーやバイオテクノロジー企業」、大手銀行1行を顧客に持っているとシン氏は言うが、これらの企業はたいてい厳しい機密保持契約を結び、「目立たないようにするのを好む」という。

　Google Apps採用を公にしている組織の1つに共和党大会があり、Google Appsで組織を運営し、Salesforce.comも使っていると同氏は語る。

　同氏によると、AppirioはTelecommunications Services of Trinidad and Tobagoとも契約しており、Google Apps Premier Editionを導入し、ユーザーの電子メールをGmailに移行するのを支援している。

　同氏は、バイオテクノロジー企業Genentechが2008年初頭に全社でGoogle Appsを導入すると発表して話題になったことも挙げた。Genentechの会長兼CEOアーサー・レビンソン氏は、Googleの取締役でもある。

　ほとんどの大企業は、Google Appsを導入したり、試験プロジェクトを実施していることを公表するのに消極的だという。Google Appsへの全面移行を計画しているのではないかという憶測で「社内にパニックが起きるのを避けたいからだ」とシン氏。

　「Google Appsへの大規模移行を検討していると公表して、Microsoftから圧力をかけられる」ことを避けたいからでもあると同氏は語る。

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