クラウド向けデータベースの選択肢(1/2 ページ)

クラウドコンピューティングはリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)モデルを崩壊寸前に追い込んでいる――クラウドコンピューティング専門家のガイアー・マグナッソン氏はこう指摘する。

» 2008年09月22日 15時31分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 「大抵の開発者はリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)の扱いに慣れているが、それをクラウド内で利用する可能性は低い」――クラウドコンピューティングの専門家はこう指摘し、さまざまなクラウドコンピューティング方式の利点と欠点を示した。

 10genの共同創業者で同社の技術担当副社長を務めるガイアー・マグナッソン氏は、ニューヨークで開催された「Web 2.0 Expo」で講演を行い、「RDBMSは必要なものだが、クラウドの中ではそうではない」と述べた。

 しかしオブジェクト/リレーショナルマッピング(O/Rマッピング)は、オブジェクト指向言語とリレーショナルシステムに格納されたデータとの間のインピーダンスミスマッチを回避するための1つの方法であるという。「O/Rマッピングは、RDBMSのパワーとODBMS(オブジェクトデータベース管理システム)のプログラミングの簡素性を結合するものだ」とマグナッソン氏は語り、Java、Python、Ruby、.NET、GroovyではO/Rマッピングがサポートされていると指摘した。「O/Rマッピングはあらゆる環境で可能だ」と同氏。

 マグナッソン氏の講演のタイトルは、「The Sequel to SQL: Why You Won't Find Your RDBMS in the Clouds」(SQLの続編:RDBMSがクラウドに進出しないのはなぜか」。

 マグナッソン氏は、クラウドを「ローカライズされていない、あるいは匿名のコンピューティングサービスまたはリソース」と定義し、クラウドコンピューティングの手法の幾つかのタイプを列挙した。その1つが、Salesforce.comで代表されるSaaS(サービスとしてのソフトウェア)方式である。もう1つの手法は、10genやGoogle AppEngineなどが採用しているPaaS(サービスとしてのプラットフォーム)方式。そしてHaaS(サービスとしてのハードウェア)という方式を採用しているのが、AmazonのElastic Compute Cloud(EC2)だという。

 クラウドが一般化したのは、クラウドコンピューティングがさまざまなメリットや経費節減効果をもたらすからである。例えば、初期投資や運用コストの節減、そして可用性とアクセス性の改善による顧客サービスの向上などである。しかし落とし穴もあるという。「データという視点から見れば、データの複製と配布を行う必要がある」とマグナッソン氏は指摘する。大規模なデータセットの場合、データを分割する必要もあるという。

 HaaSの概念を拡張するものとして、マグナッソン氏は「EC2上での皿回し」という方式について説明した。これは、MySQLに対して複数のVM(仮想マシン)を動作させるという手法で、1つがマスターになり、多数のVMがスレーブになる。マスターがダウンした場合でも、残りのスレーブから新しいマスターを作成することができる。「しかしわたしの考えでは、これはクラウドコンピューティングではない。実際には、クラスタリングを行っているのだ」と同氏は話す。

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