早けりゃいいってものじゃない――新しモノに潜むワナ：悲しき女子ヘルプデスク物語（3/4 ページ）

[鐙貴絵，ITmedia]

見たことのない、ナゾの物体を発見！

　この業界にいるからには常に最新情報が手に入るようにアンテナを張りめぐらせている……つもりなのだが、このアンテナ、時々圏外になるらしい。

　そういえば、ある冬の日曜日の朝わたしを電話でたたき起こした後輩には、別の「新しいモノ」で振り回されたこともあったっけ。それは、彼女が自宅PCとしてノートPCを購入したときのことだった。

　新しいノートPCを買ったから、インターネットに接続するのを手伝ってと頼まれたわたしは、いそいそと後輩の自宅に向かった。接続も何も、ノートPCだから、電源とLAN（インターネット）をつなげばいいんじゃないの？　　と思いながら彼女の家へ向かうわたし。

　ノートPCが梱包されていた箱を開けると、そこには見たこともない、四角い名刺入れのような物が入っていた。USB端子の付いたケーブルがついているから、PCにUSB接続するんだということは分かるんだけど……

後輩　せんぱーい、これ何でしょうね？

わたし　ごめん、分かんないわ……。

　手のひらに乗る、ナゾの四角い物体。頼られているのに「分からない」と答える自分も情けないが、いつも最新情報を知っているわけじゃない。IT管理部門にいるというだけで、IT業界やITにまつわるすべてに詳しいと思われることがある。何でも知っていると思われて質問されるために「分からない」と答えたときの相手の落胆ぶりには、本当に申し訳ないと思ってしまう。後輩も「う〜ん」と、当惑気味だ。

わたし　説明書は読んだの？

後輩　分厚い本がいっぱい入っていましたけど……。あれ、全部読まなきゃダメですか？

　まあ、気持ちは分かる。わたしも取扱説明書は好きじゃないから。でも、訳の分からない物が入っていたらまずは取扱説明書で探そうよ、と思いつつ、膨大な取扱説明書をひっくり返すわたし。気が滅入りそうになったところで、ふと名案を思いついた――。