とりあえず、正体不明の不気味な光線を出し続けているA子を観察。まずは状況の把握が肝心なのよ。なんだか、A子に聞いてもマトモに答えてくれそうな雰囲気じゃないし(ウルウル目が『わたし、正常じゃないのよー』と訴えているようにも見える)。そんなわたしの視線を感じたA子は、黙ってプリンタを指差した。その先にあるプリンタ本体は何事もないかのように鎮座している。彼女の足元に視線を落とすわたし。しかし、割れた破片が散らかっている様子も、こぼしたコーヒーが染みになっていることもない。どうやら、コーヒーをこぼしたとか落としたとかいうようなことではないようだ。スタンバイモードなのか、プリンタからは駆動音も聞こえない。さすがにこれ以上は、A子に聞いてみないと分かりそうにない――。
「どうしたの?」と聞いてみるわたし。すると、A子はプリンタを指差したまま、うわごとのようにつぶやく。
A子 止まっちゃった……。ばちっ! って止まっちゃった……。
A子よ、それで、話の内容が通じると思っているのか? 本当に分かったらわたしってすごいと思うのけど、残念ながら魔法使いではないので、さすがに理解できない。
わたし ばち? 何がばちっ! って鳴って、何が止まったの?
A子 静電気が走ったの……。プリンタから印刷した紙を取り出そうとしたら、静電気が走って、ばちって鳴って……、プリンタが止まっちゃって……。
ええっー!
わたしもかなりの帯電体質だけど、プリンタを止めたことはない。でも静電気って、時に数10万ボルトもの高い電圧になることもある。IT機器を分解して作業をする時には、静電気の「ぱちっ」を防止するためのベルトもあるくらい。しかし、静電気でレーザプリンタを止めてしまうとは……。
しかし、このプリンタ、この後動くのか?
途方にくれるわたし。とりあえず、電源入れていいのかな? こういう場合の対処法ってあったっけ? 電源を入れてみよう。と、電源スイッチに手を伸ばしてみる。
ん? ちょっとまった!
ここで電源を入れちゃ、ダメなのかも。基板に電気が残っていたら、かえって壊してまうかもしれないし。だとしたら、コンセントを抜くのが正解? 心の中で自問自答するわたし。まずは安全策、ということで電源コンセントを抜いてみた。
心配そうなA子は、さきほどの正体不明の光線を「心配オーラ」に変えていた。とりあえず、A子には業務に戻ってもらった。このプリンタは1時間くらい放っておくしかない。部署の皆さんにしばらく別のプリンタを使ってもらうよう伝えたのだった――。
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