景気後退局面でエンタープライズソーシャルソフトウェアは統合段階へ倒産かバーゲン価格の身売りへ(1/2 ページ)

Gartnerのアナリスト、マット・ケイン氏によるとメッセージングなどのベンダーの60%は来年、買収されるか倒産の憂き目に遭い、買収されるにしても景気後退の影響を受けてバーゲンプライスで身売りすることになるだろうという。

» 2008年12月18日 16時39分 公開
[Clint Boulton,ITmedia]
eWEEK

 いまSocialtextやMindTouch、Jive Software、Awareness、Yammer、NewsGatorなどの会社に共通することは? それらのメッセージング、コラボレーションエンタープライズアプリケーションプロバイダは、いずれも2009年に企業買収の対象になるかもしれないという点だ。Gartnerのアナリスト、マット・ケイン氏によると、こうしたベンダーの60%は来年、買収されるか倒産の憂き目にあい、買収されるにしても景気後退の影響を受けてバーゲンプライスで身売りすることになるだろうという。

 ソーシャルコラボレーションソフトウェア市場の新興企業は、整理統合が始まる市場成熟期と弱気相場のコンビネーションに直面している。一方、大手のエンタープライズベンダーは、バーゲンセール会場を徘徊し、将来有望なプロバイダだけをつまみ食いしようと狙っている。

 Gartnerのアナリスト、マット・ケイン氏は、最新のレポートの中で、ブログ、RSS、ウィキ、その他の新しいコラボレーション技術を提供するプロバイダは市場が成熟期を迎えつつあるため、他の技術ベンダーより困難な状況に直面するだろうと予測している。

 この市場には、IBMなどの巨大企業から、Jive Software、NewsGator、Socialtext、MindTouch、Yammer、Awarenessといった小さなスタートアップ企業まで、文字どおり数百のベンダーがひしめいている。ケイン氏の予測によると、現存のソーシャルソフトウェアベンダーの60%以上は、買収か倒産によって2012年までに市場から姿を消すという。

 ソーシャルソフトウェア製品を購入してコミュニティを構築することは、すでに企業においても一般化しつつあるが、ケイン氏によると、2009年から2011年にかけて製品とベンダーの統合化に注目が集まるだろうという。

 MicrosoftやOracle、SAPなど、大企業を顧客とするソフトウェアベンダーは、自社の製品ポートフォリオの隙間を埋めるようなエンタープライズソーシャルソフトウェアを開発するベンダーに熱い視線を向けつつある。ケイン氏は次のようにレポートに書いている。

 「これは市場の成熟サイクルに沿った動きだ。新技術の初期段階では、各社の機能セットに多様性があり、どのベンダーも市場で15%ないし20%以上のシェアを獲得することができず、ベンチャーキャピタルから資金を得た新興企業が乱立する。われわれはこうした光景を過去何度も目にしてきたので、ここでは数年先まで早送りしよう。その頃、新興企業の大多数はすでに消滅しているか、別のビジネスに転換したり、どこかに買収されているはずだ。そして本当にごく一部の成功企業だけが独立を守り、生き延びているだろう」

 ただし、ケイン氏はeWEEK誌とのインタビューで、ソーシャルソフトウェアベンダーの60%が買収か倒産によって姿を消すという予測は、少し“楽観的”かもしれないと認める。というのも、その予測は現行の景気後退を見込んでいなかったからだ。いまの経済状況は予測不可能な恐怖に支配されており、多くの新興企業が生気を失った木立のように朽ちつつある。そこで働いていた従業員たちも、風に舞う木の葉のように新しい天地を求めて飛散している。

 ケイン氏は60%という数字を当面修正しないとするが、今回の景気後退により、買収、倒産、事業転換する企業のパーセンテージは大幅に増える可能性があるとしている。

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