富士通がFJBを完全子会社化した理由Weekly Memo(1/2 ページ)

富士通が先週、上場子会社の富士通ビジネスシステム(FJB)を完全子会社にすると発表した。中堅市場向け事業の強化が狙いだが、今、なぜ完全子会社化に踏み切ったのか。

» 2009年05月25日 08時55分 公開
[松岡功ITmedia]

中堅市場向け事業をFJBに集約

 富士通が先週21日、上場子会社の富士通ビジネスシステム(FJB)を8月1日付けで完全子会社にすると発表した。富士通とFJBが重複して手がけてきた中堅市場向けのITサービス事業をFJBに集約する。

 今後は民間企業で年商300億円以下、地方自治体で人口30万人以下、病院でベッド数300床以下の中堅市場をFJBが担当し、大手市場は富士通が手がける。

 これに伴い、従来、富士通とFJBとで対応が分散していた中堅市場に対する営業機能を、今後、段階的にFJBに統合。また、中堅市場向け商品化機能を富士通からFJBに移管するとともに、販売・商品パートナーとの連携についても、FJBを中心とした体制の中で強化を図っていくとしている。

 こうした新たな取り組みによって、2008年度で約3500億円だった国内の中堅市場での売り上げを、2013年度には5000億円規模まで拡大する方針だ。

 さらに詳細な発表内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは記者会見での質疑応答をもとに、富士通が今、なぜFJBを完全子会社にしたのか、について掘り下げてみたい。

 会見に臨んだ富士通の広西光一副社長は、まず今回の取り組みの狙いについてこう語った。

 「これまでも大手市場は富士通、中堅市場はFJBが担うことでビジネスを展開してきたが、実際のところ必ずしも役割分担が明確になっていなかった。そのため、両社で顧客を奪い合うケースもあった。そこで今回、あらためて役割分担を明確にして、富士通はさらに大手へ、FJBは中堅から中小市場へも活動範囲を広げることでビジネスを拡大していく方針を定めた」

記者会見に臨む富士通の広西光一副社長(左)とFJBの鈴木國明社長

 また、FJBの鈴木國明社長も「FJBが対象としている中堅・中小市場は、年間5兆円ほどのビジネス規模があるともいわれている。しかし、われわれの現在の体制では、そうした市場を十分にフォローできていないのが実情だ。今回の事業集約化によって、それをフォローする体制を大幅に強化できる」と説明した。

 両氏が語ったことを実践するための方策が、先ほど紹介した営業機能の一本化、商品化機能の集約・強化、パートナーとの協業強化である。

 では、なぜ「今」なのか。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ