Microsoft、真の脅威はGoogleの検索技術ではないMicrosoft vs. Google(1/2 ページ)

Yahoo!との検索事業提携のうわさが再燃中のMicrosoftだが、同社が今注力すべきなのはGoogleが狙っているコアビジネス、OSとソフトウェアだ。

» 2009年07月23日 17時11分 公開
[Don Reisinger,eWEEK]
eWEEK

 Yahoo!の株式の5%を保有する投資家、カール・アイカーン氏は最近のインタビューで、検索事業売却をめぐるMicrosoftとYahoo!の取引に今でも賛成であるとの考えを示した。アイカーン氏によると、この取引が成立すれば、Yahoo!は経費を節減し、経営基盤を強化することができるという。一方のMicrosoftは、検索市場をめぐるGoogleとの競争力を大幅に強化できる。

 MicrosoftとYahoo!の取引がうわさに上ったのは今回が初めてではない。Microsoftは昨年、Yahoo!の買収を提案した。提示金額はYahoo!の株価に67%のプレミアムを上乗せした446億ドル。しかし度重なる交渉を通じてYahoo!は買収提案を拒否し、Microsoftは同社の買収を断念した。その後、MicrosoftはYahoo!の検索事業の買収を試みた。しかしYahoo!創業者のジェリー・ヤン元CEOはMicrosoftとの取引を一切拒否し、Microsoftの狙いはまたしても失敗した

 しかしYahoo!は現在、新たなリーダーに率いられている。同社のキャロル・バーツCEOはさまざまな機会で、「巨額の現金」が用意されるのであれば、検索事業をMicrosoftに売却する意思があることを表明している。同氏の見積もりによると、この取引が成立した場合、Yahoo!は人員削減およびデータセンターのコスト削減によって、5億〜7億ドルの経費を節減できる。Yahoo!の立場からすれば、この取引は理にかなっているようだ。

 だがMicrosoftの立場から見ればどうだろうか。バルマー氏ら同社幹部が、検索や広告事業の提携をめぐってYahoo!と再び交渉を行っているという憶測が飛び交っている。うわさによると、交渉の妥結は間近であるようだ。取引が成立すれば、Microsoftは検索市場における自社の8.4%の市場シェアとYahoo!の19.6%のシェアを合わせて、Googleの65%のシェアに対抗するという展開になる。この取引は、検索市場でのMicrosoftの勢力を大幅に強化するとみる向きもある。

 その通りかもしれないが、Microsoftが検索事業でYahoo!と取引するのは賢明な選択なのだろうか。確かに同社はYahoo!の検索事業を獲得するのに必要な資金を持っており、その分を差し引いてもほかのビジネスチャンスに投資する余裕がある。しかし可能だからといって、それが良い選択とは限らない。現在、MicrosoftのコアビジネスがGoogleの直接的なターゲットになっているのだ。

 検索大手Googleはオンライン用OSを開発している。同社は既に、Web上でオフィスアプリケーションスイートを提供しており、同社のWebブラウザであるChromeも人気上昇中だ。いずれの分野も、GoogleがターゲットにしているのはMicrosoftのコアビジネスだ。MicrosoftがYahoo!の検索事業を獲得して28%の市場シェアを確保したとしても、同社がOSとオフィススイートの分野で支配力を失えば元も子もない。

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