1997年に最優秀防御率投手になった要因として、データを十分に活用できたことが大きいでしょう。この打者はどういった球種が好きで、どのコースを見逃すかなどを把握していれば、早いカウントから打ってもらうよう仕向けて、球数を抑えることができます。2、3球で打者一人を処理するような投球をしていましたね。
人にはそれぞれ最大速度があるため、いくらそれ以上速く投げようとしても難しいわけです。けれど、遅いボールはいくらでも投げられます。全力で投げて140キロであれば、わざと少し抜いて135キロのボールを投げたり、同じ変化球でも速い変化球と遅い変化球を使い分けたりと、緩急はかなり有効に活用していました。
さらに当時は主審を味方につけており、カウントを容易に整えられたことも大きいですね。前シーズンや春季キャンプの投球を見てきており、コントロールが良いという先入観で判定するようになっていました。ある程度きわどいコースのボールはストライクと判断してくれました。いつもストライクを取るところに投げてボールと宣告されたら、少し含み笑いをして主審にプレッシャーをかけました。すると次からは間違いなくストライクになりました。
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