世界で勝つ 強い日本企業のつくり方

グローバルネットワークの潮流は「階層型」へ世界で勝つ 強い日本企業のつくり方(1/3 ページ)

日本企業の海外進出に欠かせないのがグローバルネットワークの構築だ。だがコストや信頼性、運用のしやすさは通信事業者によって大きく異なる。グローバルネットワークを構築する上で不可欠な通信事業者選びのポイントを探る。

» 2010年01月21日 07時00分 公開
[百瀬崇,ITmedia]

新興国の通信事業者は「玉石混交」

田崎氏 ガートナー ジャパン リサーチ テクノロジ&サービス・プロバイダー バイスプレジデントの田崎堅志氏

 信頼性できるグローバルネットワークを構築するにはどうすべきか――。日本企業が海外へ進出には、拠点間を結ぶネットワークの構築が課題の1つになる。最適なグローバルネットワークを構築するためのポイントについて、ガートナー ジャパン リサーチ テクノロジ&サービス・プロバイダー バイスプレジデントの田崎堅志氏(編注:「崎」は山へんに立と可、以下同じ)は、「まず、対地国(接続相手の国や地域)のネットワークが均質でないことを理解しておくべき」と話す。

 日本国内はどこでもある程度のネットワーク品質が確保されているが、世界では特異だ。米国でも地方ではネットワーク品質が劣るところがある。「それでも、北米や西欧はネットワークがある程度は安定し、ほかの地域に比べれば品質がいい」と田崎氏は言う。

 日本や北米、西欧では、対地国の中までグローバルネットワークを提供する通信事業者が自前のネットワークを構築できる。だが、アジア太平洋や東欧、南米、アフリカといった地域では、国や地域ごとに規制があり、入り口までしかつなぐことができないという。そうした国や地域の中のネットワークは国内の通信事業者を利用することになるが、「その品質が劣る場合があり、グローバルネットワークを構築する際の障壁になっている」(田崎氏)

ワンストップサービス提供する国際通信事業者

 日本企業が海外進出で最適なグローバルネットワークを構築するにはどうすればいいか。田崎氏は2つの方法を提示する。

 1つは、ワンストップでサービスを提供するグローバルネットワーク事業者に任せる方法。対地国の通信事業者の中でも信頼のおける企業とパートナーを組んでサービスを提供しており、一定水準以上のネットワークを構築できるためだ。

 ネットワークの品質は、「コスト」「信頼性」「運用性」「柔軟性」「性能」の5つの要素で決まるが、グローバルネットワーク事業者の提供するサービスは、特に信頼性や運用のしやすさ、柔軟性、性能といった点で優れているという。

 「グローバルネットワーク事業者でも、企業によって強い地域とそうでない地域がある。その点をよく確認して選択していただきたい」(田崎氏)

 もう1つは、アジア太平洋や東欧といった「リージョン(地域)」単位でサービスを提供する通信事業者と複数契約し、自社でそれらをまとめて管理する方法。場合にもよるが、この方がコストが割安になる。ある特定の地域とのコミュニケーションが多い場合は、リージョンの通信事業者を活用することを検討するのもいいという。

「ただし、リージョン内に拠点が多数ある場合は、グローバルネットワーク事業者を選んだ方が運用の負担が小さい場合もあるだろう」(田崎氏)

 既にグローバルネットワークを使っている企業が、ほかのグローバルネットワーク事業者へ変更する場合も注意すべき点がある。グローバルネットワーク事業者を変更すると、対地国のネットワークまで変更せざるを得ないことがあるからだ。

 前述した通り、グローバルネットワーク事業者は現地の通信事業者とパートナーを組んでサービスを提供している。そのため、グローバルネットワークを入れ替えると現地の通信網も大きく入れ替わってしまう。ネットワーク全体の契約や接続作業を始めからやり直すことになり、ユーザー企業には大きな手間を生じてしまう。

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