iPadはコーヒーテーブルブック?オルタナブログ通信(2/3 ページ)

» 2010年03月19日 17時00分 公開
[森川拓男,ITmedia]

iPadは4月発売!

 林雅之氏「『ビジネス2.0』の視点」の今週の電子書籍ニュース(2010.3.1〜3.6)にも紹介されているように、電子書籍に関するニュースが多く配信されている。注目はiPadだろう。iPadは電子書籍端末ではないが、その面がクローズアップされているからだ。

 まずは斉藤徹氏「in the looop」の日本でも4月末発売決定。iPadはどれくらい売れるのか?で書かれたように、日本での発売時期が決まった。林雅之氏「『ビジネス2.0』の視点」の子どもたちのタブレットPCとデジタル教材の活用を考えるも指摘しているが、電子書籍端末として以上にiPadの可能性は高そうだ。

 コマーシャルも登場した。佐藤由紀子氏「海外速報部ログ」のiPadのCM第一弾、アカデミー賞番組で放映で紹介されているので、ぜひ見てほしい。そして佐藤由紀子氏は、iPadについてiPadは新しい「コーヒーテーブルブック」だと思うという見方をしている。一方、「コーヒーテーブルブック」という言葉から、iPadの使い方を考察したのが、大木豊成氏「走れ!プロジェクトマネージャー!」のコーヒーテーブルブックで仕事するって、なんか気分がよさそうだ。高級感のあるコーヒーショップでiPadを使うのは格好いいかもしれない。

電子書籍のこれから

 電子書籍の普及の鍵となるのはコンテンツだ。佐藤由紀子氏のNew York Timesが電子版ブックレビューを独立製品にでは、ニューヨーク・タイムズの試みを紹介した。

 電子書籍普及への問題の1つはコンテンツの価格だろう。参考になりそうなのは、話題になった「フリー」だ。

ブロガー ブログ フリーな読み物
谷川耕一氏 むささびの視線 iPadが出たら広告モデルのフリーマガジンはビジネスとして成り立つのか
玉川岳郎氏 ニュータイプになろう! 偉大なロックバンド史かと思った「フリー」は、新たな経済連鎖への展望だった
林雅之氏 『ビジネス2.0』の視点 ブログと「FREE」モデル

 谷川耕一氏の指摘はなかなか興味深い。かつて「R25」の電子版が無料で配布されていたことがある。その時は、フリーペーパーでは広告が入っていた部分に電子版では「R25」のイラストが入っており、広告は実質なかった。今後「R25」iPad版が出るとしたら、広告が入るのだろうか。

 そしてすでに電子書籍無償公開の実験がスタートしていた。永井孝尚氏「永井孝尚のMM21」の今まさに旬のベストセラーを、電子書籍で無償公開する試みによると、昨年10月に刊行されたばかりのベストセラーが、全文を無料公開している。これからの出版社の動向を注視したい。

 現在の電子書籍リーダーの注目株と言えば、AmazonのKindleだ。オルタナブロガーには既に手にしている人もおり、実際に使った上でのリポートは参考になる。

ブロガー ブログ Kindleで文章を読む
岡本博行氏 The Grouchy Bug Kindleの使いかたいろいろ
永井孝尚氏 永井孝尚のMM21 Kindleをゲット。日本語の本がサクサク読める!
Kindleで遊んでいて、考えたこと
成井秀樹氏 なるいのDRM進化論 待望のロストシンボルが発売。KindleとiPadの違いに改めて注目。

 今泉大輔氏「シリアルイノベーション」の[Kindle][電子書籍]すでに始まっている章単位の販売では、書籍の章ごとの販売が始まっていることが紹介された。書籍によっては、全体の一部のみを読みたいものもある。それだけのために全体を購入するのを戸惑う人への需要はあるはずであり、今後このような販売形式も進むのかもしれない。

 また今泉大輔氏は、発表媒体としてのKindleについてもエントリーを書いており、こちらもなかなか参考になる。

ブロガー ブログ Kindleで文章を発表する
今泉大輔氏 シリアルイノベーション ものを書いて食うための環境として「Amazon Kindle+Twitter+リアルイベント」が大きなポテンシャルを持つというお話(中)
ものを書いて食うための環境として「Amazon Kindle+Twitter+リアルイベント」が大きなポテンシャルを持つというお話(下)
書き手の方は今すぐTwitterを/出版社は役割の再定義を

 電子書籍がクローズアップされるとともに出版不況の話題も出てくるのだが、そこに一石を投じたのが大野元久氏「IT's my business」のそろそろ「本が売れなくなった」と嘆くのはやめるべきというエントリー。うなずかされることが多かった。特に後段の電子書籍に関するプラスではない指摘が興味深かった。

 リアル書籍の重要な要素の1つはデザインであり、その一要素である帯ではないだろうか。中村昭典氏「中村昭典の、気ままな数値解析」の【3,625冊】 本の帯は、著者のホンネを凝縮した、Twitter以上にメッセージ性の強いつぶやきかもは共感を持った。筆者も中村昭典氏同様に、Amazonなどで帯も含めて表紙画像を表示してもらいたいものだ。帯も含めて「本の顔」なのだから。電子書籍が普及するとどうなるのか分からないが、短いキャッチコピーをTwitterで配信するなど、帯には形を変えてでも残ってほしい。

 本にせよ何にせよ、「これは売れる」と思ったものが意外と売れないのが現実だ。中村昭典氏の【1,784千円】 「売れると思ったのに売れぬ本」フェアで感じる、ジュンク堂の強さでは、逆手に取ったキャンペーンが紹介されていて面白かった。

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